外務省は「東シナ海」を「東海」と呼んでいた 2001年の公文書に残された不都合な真実

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「確かに排他的経済水域から入るのは、良いアプローチだと思う」

自民党の目の付けどころを評価するのは、外務省キャリア官僚時代に条約局で海洋条約などを担当した緒方林太郎前衆議院議員だ。というのも、国連海洋法条約第59条で排他的経済水域での経済的主権の境界は日中の中間線になるからだ。「大陸棚だと中国は自然延長を主張してくるが、排他的経済水域では中国も中間線を認めざるをえなくなる」と緒方氏は述べる。

だが、懸念もある。

自民党の案が排他的経済水域内の海洋調査について、官邸の許可制を求めようとしている点だが、日中には2001年2月13日に交わされた「海洋調査活動の相互事前通報の枠組みの実施のための口上書」が存在する。相手国の近海で調査を行う場合は、2カ月前までに事前通報をすればいいという内容だ。

「この口上書があるかぎり、法律で官邸の許可制にすることは意味がなくなってしまう。いちばんの問題は、この口上書が機密文書に該当しないにもかかわらず、公開されていないという点だ」(緒方氏)

「東シナ海」に該当する海域を「東海」と記載

一方でこの口上書締結について公表する公文書は存在する。この文書には、看過できない問題がある。日本では「東シナ海」と呼ばれている海域が「東海」と記載されているのだ。

「東海」は中国が用いてきた呼称であり、日本が用いるものではない。外務省の公文書になぜ「東海」が用いられていたのだろうか。

これについて緒方氏が現職時代に出した質問主意書に対して政府は2016年8月8日付けで、「国内法令及び行政文書では、一般に『東シナ海』と呼称されていると承知している」と述べ、「『東海』と呼称している行政文書もあると承知している」と回答した。その見解は今も同じだ。

1月24日の会見で丸山則夫報道官も「日中間では双方(「東シナ海」と「東海」)が慣用上用いられてきたため、この呼称(「東海」)を用いることになった」と明言。さらに「過去に作成した海図や締結した条約の中にも、この呼称を用いた例がある」と述べている。

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