英国風パブ「HUB」、若者の酒離れと無縁なワケ スポーツイベントない「端境期」も既存店好調

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大量販売をバックボーンに、独自商品の開発も積極化できる。太田社長は「飲料メーカーからHUBオリジナルメニューの開発提案がある」と語る。現在、サントリーが全国で販売している「トニックウォーター」は、HUBのレシピをサントリーに提案し、そしてHUBが監修して商品改良させたものだ。

順調な集客と大量販売に連動して、ハブの業績は好調だ。今2018年2月期は売上高が111.9億円(前期比9.5%増)、純利益が5.1億円(同2.7%増)になると見込む。純利益は前期に続いて、連続で過去最高を更新する見通しだ。

創業者が掲げた方針

大量出店をテコにした成長戦略を描くことが多い居酒屋チェーンに対し、ハブは年間10店前後の着実な出店に徹している。スクラップ&ビルドが少ないので、関連費用に苦しむことがない。また、ドリンクの売上高に占めるカクテルの比率が40%超と高い。好採算のカクテルの販売数量増は利益の押し上げ要因となる。

豪華な内装にするために1店舗当たりの投資負担は7000万~8000万円かかる(ハブ提供)

ここ数年は業績好調を維持するハブだが、これまで順風満帆だったわけではない。ハブの創業者はダイエーの創業者でもある中内㓛氏だ。1980年にHUB1号店を神戸・三宮に出店し、その後も複数店を開業したが、業績が伸びず1986年に事業を清算。六本木店や渋谷店など黒字店舗のみ残して事業を続けた。

中内氏の方針は明確だった。「HUBを居酒屋にしてはいけない」「週刊誌を買うようなリーズナブルな価格で提供する」。目下、HUBは独自路線をひた走るが、それは「中内氏が唱えた方針を愚直に守っている」からと、IR担当者は強調する。

最近の「ちょい飲み需要」が、創業者が見据えていた飲食スタイルとようやく合ってきた印象があるとはいえ、今後も継続して成長するためには課題がある。ハブの自社調査によると、ブランド認知度は首都圏でも50%程度。外食業界の人手不足を背景に、アルバイトの採用が難航することもある。

折しも、2017年12月に東京証券取引所第1部に上場した(それまでは東証第2部)。1部上場を機に、知名度向上策などを打ち出すことができるか。次の一手が問われる。

梅咲 恵司 東洋経済 記者

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うめさき けいじ / Keiji Umesaki

ゼネコン・建設業界を担当。過去に小売り、不動産、精密業界などを担当。『週刊東洋経済』臨時増刊号「名古屋臨増2017年版」編集長。著書に『百貨店・デパート興亡史』(イースト・プレス)。

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