介護離職をすると、自分の老後が危なくなる 「親への気持ち」は痛いほどよくわかる
それだけではありません。さらに深刻なのは、避けて通れないので率直にお話をすれば、香里さんの母が他界したあとです。もしお母さんが他界すれば、年金収入はなくなります(成人である香里さんには、遺族年金は支給されない)。
もちろん香里さんには、母の他界後、「働いて収入を得る」という選択肢もあります。しかし、長いブランクがあったあとに、以前のように手取り336万円まで収入を増やせるかどうかはわかりません。
介護で仕事を辞めると生じる「4つの経済的な変化」
もし、香里さんにたくさん貯蓄があるとか、母から莫大な遺産相続を受ける、というなら話は別です。しかしそういうこともないということなので、香里さんの老後も気になるのです。
いろいろ聞いてみると、香里さんは実家に戻ってから自身の家賃が不要になったため、年間150万円くらいは貯蓄できそうとのことです。現在のように会社員として働いていれば、10年で1500万円になります。これが老後資金にできるかできないかでは、かなり安心感が違ってきます。また会社員として勤めあげれば、公的年金も多くなります。逆に、自己都合で早期退職をすれば、年金の額も少なくなってしまいます。
つまり、香里さんが介護のために仕事を辞めると、
(2) 母が亡くなったあとは無収入になる(働いても以前ほどは稼げない可能性が高い)
(3) 老後のための貯蓄ができない
(4) 老後の年金も少なくなる
以上、4つの経済的な変化が生じるわけです。
そうはいっても、香里さんの母に介護が必要なのは確かです。
ではどうしたらいいでしょうか。選択肢は大きく分けて2つあります。
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