介護離職をすると、自分の老後が危なくなる 「親への気持ち」は痛いほどよくわかる

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親の介護が大変で仕事を辞めたくなる気持ちはよくわかる。 だが介護離職をすると、自分の老後が危ない(写真:Ushico / PIXTA)

「親(あるいは妻など)の介護が必要になった。このままでは充分な時間もないし、もう会社を辞めるしかない……」。このような形で「追い詰められる」という話は、誰でも起きる可能性があり、とてもひとごとではありません。しかし介護離職は経済的にも大きなダメージです。場合によっては、2000万円、3000万円もの収入を失うことにもなりかねません。今回は、どのような影響があるか、またそれを避けるための「育児・介護休業法」について、お話します。

なぜ簡単に「介護離職」を決断してはいけないのか

「同居している母に介護が必要になったので、仕事を辞めようと思っています……」

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最近、私は有名企業に勤務する中田香里(かおりさん、仮名・47歳)さんから、こんな深刻な話を打ち明けられました。香里さんはシングル女性で独り暮らしをしていましたが、2年前に父が他界してから実家に戻り、現在は73歳の母と2人暮らしです。

香里さんの母は、香里さんの父が他界する前の約3年間、自宅で介護していました。「要介護3」のレベルで、介護保険サービスも利用していましたが、それでも「老々介護」は大変だったと言います。なんと、今度はその母が病気になり、退院後「要介護3」に。香里さんは「とても1人にはしておけない」と表情を曇らせます。

要介護3とは、立ち上がりや歩行がかなり困難で、食事、排泄、入浴などに全面的介護が必要な状態です。想像してください。香里さんが「1人にはしておけない」と思うのも無理はありませんよね。

でも、です。私は香里さんが仕事を辞めることには賛成しかねます。
それはなぜでしょうか。

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