「イクスピアリ」の飲食事業が買収される理由 「磯丸水産」など展開するCRHが3月に事業譲受
注目のM&A(企業の合併・買収)に対して、株式市場の反応は冷ややかだった。
フードコートから居酒屋まで幅広い業態の飲食店を運営するクリエイト・レストランツ・ホールディングス(CRH)は、オリエンタルランドの子会社で商業施設を運営するイクスピアリから飲食事業(レストラン9店、フードコート8ブース)を譲受する。イクスピアリが会社分割で新設する新会社に飲食事業を移し、CRHは3月にその新会社の全株式を買い取る。
昨年夏ごろに買収案件が持ちこまれた
このM&Aを発表した1月12日以降、CRHの株価は下げ続けた。18日終値は前日比2%安の1173円。昨年末からの下落率は12%で、約3カ月ぶりの安値水準となった。「積極的なM&Aが経営資源の分散やコスト増を招く」との懸念から、個人や機関投資家から幅広く売りが出たようだ。
株価が下落した一方で、「今回のM&Aをかなり評価している」(いちよし経済研究所の鮫島誠一郎主席研究員)と、プラス評価する関係者は少なくない。
オリエンタルランドからCRH に対してM&Aの提案が持ち込まれたのは、2017年の夏ごろ。東京ディズニーリゾートなどの施設運営に経営資源を集中させたい意向のオリエンタルランドは非中核事業であり、売上高約24億円でどうにか黒字を確保している程度のイクスピアリ飲食事業の売却を模索していた。
CRHは2015年にイクスピアリ内の飲食店「レインフォレストカフェ」の運営会社をオリエンタルランドから取得し、業績を建て直した実績がある。この関係から、今回オリエンタルランドは売却先の候補先としてCRHの名前を上げたと見られる。
一方、CRHはM&Aを成長戦略の柱に据えている。これまでに海鮮居酒屋「磯丸水産」を運営するSFPホールディングスや、和食店「かごの屋」を展開するKRフードサービスなど多くのM&A実績を持つ。
過去の買収案件に比べて、今回のイクスピアリ飲食事業は小粒ながらも、全体業績の底上げ要因になる可能性を秘めている。
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