「イクスピアリ」の飲食事業が買収される理由 「磯丸水産」など展開するCRHが3月に事業譲受
「立地が魅力的だった」と、CRHのIR担当者が語るように、イクスピアリは東京ディズニーリゾートに隣接する場所のため、その店舗内のレストランは大きな集客を見込める。東京ディズニーリゾートが今年4月に開業35周年、東京ディズニーシーも2021年に開業20周年を迎えることから、関連イベント開催による波及効果も当面期待できる。
今回譲受するイクスピアリのフードコートは、販売単価が通常のフードコートよりも、200~300円ほど高いと見られる。CRHはフードコートのオペレーションを得意としていることもあり、人員配置や仕入れ効率化などのノウハウを移植することで、収益力を高めていく狙いだ。
買収金額やのれん代などは未公表だが、のれん償却費は「月ごとに数百万円が発生するぐらいの水準」(CRHのIR担当者)と、極端な圧迫要因にはならないようだ。
シンガポール料理店も買収
イクスピアリ飲食事業の取得を発表した同じ12日に、東京都内でシンガポール料理店「海南鶏飯食堂」を運営する企業グループとも資本・業務提携することを公表した。同グループは現在2社で2店を運営しているが、CRHは2社を合併して3月に新会社を設立し、51%を出資する親会社として両店の運営を担う。
こうしたM&A戦略を推し進めるだけでなく、既存事業においても環境変化に応じた対策を適宜実施することで、CRHは好調な業績を維持している。今2018年2月については売上高1180億円(前期比3.9%増)、営業利益63億円(同7.6%増)を見込む。ショッピングセンター内の店舗をステーキ食べ放題の店舗に業態変更したことなどが奏功している。
来2019年2月期も、営業利益ベースで今期と同程度の伸びを期待できそうだ。組織横断型のクロスファンクショナルチームを軸にグループ会社一体で合理化を推進しており、人材採用や購買活動、店舗設計などの多方面で運営効率化の効果が見込まれる。
いちよし経済研究所の鮫島主席研究員は「同社の株価は戻ってくるだろう」と、目標株価を1400円に設定している。いったんは株式市場にソッポを向かれる形となったが、今回の買収案件をテコにさらなる成長を描けるか。CRHの動向に耳目が集まる。
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