リニア駅決定に見る、JR東海の台所事情 着工へ一歩前進も、巨額負担がのしかかる
JR東海は9月18日、東京・品川と名古屋を結ぶリニア中央新幹線の詳細なルートを公表した。中間駅の正確な場所も明らかとなり、リニア駅を核とした沿線自治体の都市開発計画がようやく具体的に動きだそうとしている。
ルート決定に沸くのが、神奈川県相模原市。JR横浜線、相模線、京王電鉄相模原線が乗り入れる橋本駅の南側にリニア駅が設置される予定だ。JR東海は品川―名古屋の直通運転にこだわっており、中間駅に止まる列車の本数は少ないとみられるが、「新横浜のように駅周辺の再開発で企業を誘致し、1時間に5本止まる駅にしたい」と、相模原市の担当者は意気込む。
車両基地の誘致などに県を挙げて取り組んできた岐阜県中津川市でも地元の期待は高まっている。JR美乃坂本駅の隣接地に中間駅が設置される予定で、木曽川を渡る地点や車両基地の引き込み線でリニアの姿を見ることができるため、リニアを観光資源として活用する計画もある。
一方で、在来線との接続が考慮されていない駅もある。山梨県甲府市の新駅はJR甲府駅から6キロメートルほど離れている。長野県飯田市に設置される新駅は最寄りのJR元善光寺駅から1キロメートルほどしか離れていないため、飯田市民の間では「この程度なら何とか接続できないか」という声も聞かれた。だが、「環境に配慮し、周辺の遺跡群を回避した結果」と、JR東海の対応は冷ややかだ。
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