NHK受信料「徴収督促チップ」が全テレビに!?

全対応機にACASチップを入れるのは不当だ

カード形式ならばカードを交換することで問題を切り分けることができるが、チップ搭載となれば基板ごと交換するしかない。その場合、一般的には預かり修理となる。ACAS搭載チューナーは現行の地上デジタル放送、BSデジタル放送の視聴にも利用するため、4K/8Kだけでなく全デジタル放送が修理期間中に受信できなくなってしまう。

修理保証期間内ならば、問題の切り分けを行えないためメーカーが無償修理することになろうが、保証期間を過ぎていると消費者負担となる。もちろん、それがACASチップに起因するかどうかはわからないのだが、基板交換などの高額修理を消費者が負担せねばならないケースは当然出てくるだろう。

ACASチップ内蔵を強要するということは、CASをシステムとして商品に一体化し、切り分けを不可能にする。その負担増が、果たしてどの程度になるかも推計できず、気づかぬうちにNHK受信料徴収のためのメッセージ表示コストを支払わされるのは問題があろう。

ほかの方法では受信料を回収できないのか?

こうした事実を指摘したとしてもNHKは「公平な負担」という大義名分を振りかざすかもしれない。しかし、このような大げさなシステムでメッセージを表示させなければ受信料を回収できないという前提が誤っているのではないだろうか。

たとえば前述した英国のTV Licenceだが、その料金は税金として徴収されるのではなく、BBCが料金徴収代行を行って国庫に入れ、集まったライセンスフィーの配分を受ける仕組みになっている。

チューナーにCASなどの仕組みもない。不正発覚の場合、1000~2000ポンドという高額の罰金が徴収されることも背景としてあるものの、BBCは機器の支援なしに93~94%の支払い率を引き出している。さらにライセンス料徴収にかかるコストは全体の6%にすぎない。

徴収方法は実に簡単で、存在する住所ごとにライセンサーをひも付けたデータベースを管理し、保有していない住所の世帯に訪問調査と定期的なレター送付を行うだけだ。機器ではなく世帯で管理しているからこその手法だが、当然ながらNHKも世帯ごとの契約である点は同じである。

このライセンス料金を支払うことで、英国の視聴者は世帯ごとに15台までの機器で受信でき、放送のみならずiPlayerというアプリを通じてインターネットからストリーミング、ダウンロード視聴が可能。日本のNHKのように、将来はインターネットストリーミングで視聴する世帯から別途受信料を……といった議論も存在しない。

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