米国「通常兵器攻撃に核で反撃」構想のリスク

核戦争リスクを高めかねないとの懸念も

一方ある関係者はロイターに、報道された素案は本物だと語ったが、トランプ氏に提示されて承認を得る内容がそれと同じになるかどうかは明言しなかった。

あいまい戦略

素案はロシアと中国が核兵器の近代化を進め、北朝鮮による核を用いた挑発行為が周辺地域や世界の平和を脅かしていると指摘。これに対して米国は、すべての条約を順守しながらも水上艦艇から発射する核弾頭の巡航ミサイルの最新型を開発し、現在保有する潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の一部の弾頭について軽量化に向けた改良を行う方針を打ち出している。

さらに素案は、米国の核兵器を使った報復につながる「極限状態」に非核の重大な攻撃を含める可能性にも言及した。軍縮問題の専門家は、米国の電力網を壊滅させるような大規模サイバー攻撃などが、こうした極限状態とみなされてもおかしくないとの見方をしている。

民間シンクタンク、アームズ・コントロール・アソシエーションの軍縮調査ディレクター、キングストン・リーフ氏は、素案は長らく米国が保持してきた路線から逸脱しているとした上で「米国が核兵器を使用し、そのために核兵器使用のリスク自体が高まるというシナリオがさまざまに拡大していく」と警鐘を鳴らす。

オバマ政権が示した、米国は核拡散防止条約(NPT)に加盟し、それを順守する非核保有国は核による攻撃や恫喝はしないという約束は、素案でも基本的に踏襲された。ただ、非核技術がもたらす脅威が高まっている点を踏まえ、そうした政策を変更する権利を留保する姿勢も明らかにした。

ヘリテージ財団のシニア政策アナリスト、ミカエラ・ダッジ氏は、米国がいつどのように核報復に動くかは、敵対勢力の抑止を狙って意図的にあいまいにされたようだと分析した。

(Phil Stewart記者)

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