愛するペットが死んだら「燃えるゴミ」なのか ペットを弔いたいという飼い主は増えている

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火葬は施設で行う場合と、火葬車が自宅に来て行う場合がある。また合同火葬と個別火葬があり、後者の方が料金は高いが、遺骨の引き取りが可能だ。ただし、こうした施設は埋葬法、動物愛護法、廃棄物処理法などの法律の対象外のため、消費者トラブルや火葬場設置をめぐる住民トラブルもある。

世間を驚かせたのは、2010年の埼玉県飯能市における動物死体の不法投棄だ。飼い主から預かった約100匹のペットの死体を動物葬祭業を営む71歳の男性が火葬及び返骨等の処理を適正に行わずに飯能市の山中・正丸峠付近に投棄した事件だ。

ゴミと同じ扱いは避ける方向に

前述のように動物の死体は、法律上は廃棄物扱いなので、ゴミとして焼却しても問題はない。だが、動物愛護管理法が第2条において「動物が命あるものであることにかんがみ……適正に取り扱うようにしなければならない」としていること、また近年の人びとの動物、特に犬猫に対する感情への配慮から行政でもゴミと同じ扱いを避ける方向にあると言える。

しかし、生活を共にしてきたペットを弔いたいという飼い主の気持ちに行政の対応では追い付かず、ペット専門の火葬・埋葬業や寺院を増やす結果になっている。

数多くの業者が参入する中で、現在では悪質なペット火葬業者やペット霊園が存在する問題も表面化している。訪問火葬業者や霊園業者が加盟する業界団体などでは業界の健全化に取り組んでいたり、条例を定めたりしている自治体もあるが、抜本的な解決には至っていない現状のようだ。

動物愛護法が動物が死んでからのことを想定していないため、火葬・埋葬業者の同法での規制ができないのが現状であり、改正論議の論点になっている。

動物と人間の関係は単純ではない。家族同様に大事にされ、死んだあとも丁寧に弔われるペットがいる一方で、そうでない動物が大量に存在するのが現代消費社会だ。

商品として買ってもらえなかったペットショップの犬猫たちのその後のことや、ペットフードになる家畜についてはペット愛好家でも無関心なことが多い。人間に愛されなかった動物のことも考えていく必要があるだろう。

細川 幸一 日本女子大学名誉教授

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ほそかわ こういち / Koichi Hosokawa

専門は消費者政策、企業の社会的責任(CSR)。一橋大学博士(法学)。内閣府消費者委員会委員、埼玉県消費生活審議会会長代行、東京都消費生活対策審議会委員等を歴任。著書に『新版 大学生が知っておきたい 消費生活と法律』、『第2版 大学生が知っておきたい生活のなかの法律』(いずれも慶應義塾大学出版会)等がある。2021年に消費者保護活動の功績により内閣総理大臣表彰。歌舞伎を中心に観劇歴40年。自ら長唄三味線、沖縄三線をたしなむ。

 

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