強気相場9年目の米株式、上昇期待とリスク警戒 初の2万5000ドル台乗せで熱狂に沸くが

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 12月29日、米国株は2018年も上昇基調を維持すると見込まれている。法人税率の大幅な引き下げが経済と企業利益を押し上げると予想されるからだ。写真は米ニューヨークで2016年12月撮影(2018年 ロイター/Andrew Kelly)

[29日 ロイター] - 米国株は今年も上昇基調を維持すると見込まれている。法人税率の大幅な引き下げが経済と企業利益を押し上げると予想されるからだ。しかしストラテジストからは、相当な値上がり局面はあってもごく短期間にとどまるか、安定しない可能性があるとの警告が聞かれる。

S&P総合500種は昨年の上昇率が20%と、2013年以降で最大を記録。強気相場自体は今年3月で9年目を迎える。それでもS&P総合500種の株価収益率(PER)が02年1月以来の高水準に達した中で、株高の勢いは鈍る見通し。景気後退の兆しは見当たらないとはいえ、市場関係者の多くはいくつかの潜在的なリスクを挙げている。

ニュービーン・アセット・マネジメントのチーフ株式ストラテジスト、ロバート・ドール氏は「これまで6年連続で株価が企業利益(をアウトパフォーム)してきたが、今年は株価が利益ほど伸びないと思う」と述べた。

JPモルガン・アセット・マネジメントのチーフ・グローバル・ストラテジスト、デービッド・ケリー氏は、税制改革が企業の支出を増やすものの、生産性向上にはまったくつながらない点に懸念を表明。「素晴らしい時間は1年限りになる」と予想し、市場参加者は相場が好調なうちは大いにそのメリットを享受すべきだが、必ず「引き際」を心得ておかなければならないと忠告する。

ポジティブサプライズの余地なくなる?

また何人かのストラテジストは、経済成長の加速がインフレを引き起こし、米連邦準備理事会(FRB)が想定よりも急激な利上げに動く恐れがあると指摘した。

ロイトホルト・グループのチーフ投資ストラテジスト、ジム・ポールセン氏は、米経済に関する良い情報ばかりが集まっている事態を心配し、「朗報を入手し続けることで生じる問題は、ある時点でもはやポジティブサプライズの余地がなくなってしまう点だ」と話した。

ポールセン氏によると、シティグループがまとめている米統計と予想のかい離を指標化したエコノミック・サプライズ指数が高水準にある場合、株価は軟調傾向をたどってしまう。実際シティが公表した直近の同指数は77で、12月22日につけた約6年ぶり高水準の84.5からそれほど遠くない。

同氏は「今年のどこかで株価には10─15%の調整が入る。年間ベースで株価が下落しても驚かない」と語りつつ、調整局面が出現して市場参加者が不安に陥った段階で恐らく自身は再び買い向かうと付け加えた。

今年は議会の中間選挙にも投資家が注目するだろう。与党・共和党が上下両院のどちらかで過半数議席を失えば、政策の実現にブレーキがかかりかねないからだ。

「ストック・トレーダーズ・アルマナック」のジェフリー・ハーシュ編集長によると、過去17回の中間選挙の年のうち10回で年間の株価動向は1月の方向性によって決まった。そして今年1月の場合、議会が債務上限引き上げに合意できるかどうかが投資家心理を左右するかもしれない。19日までに議会で2018年度予算案に関する意見がまとまるとの期待感も出ている。

(Sinead Carew記者)

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