対象は『就職四季報2019年版』(総合版)の掲載会社のうち、最新の3年後定着率(「2014年4月入社者数」<ただし10名以上>と、「うち2017年4月在籍者数」をもとに算出)に、有効回答があった942社。このうち上位200社を「新卒入社者の定着率が高い会社ランキング」にまとめた。なお、定着率が同じ場合、入社者の多い順に順位付けした。
定着率が100%の会社、つまり「入社から3年の間に離職者が1人もいなかった会社」は80社。うち2014年入社者が最も多かった1位は、京都に本社を置き医療用医薬品を手がける、日本新薬(2014年入社者数66人)がランクインした。
2位は産業用ロボット、世界首位のサーボモーターやインバーターを製造する、安川電機(同59人)。3位は任天堂(同57人)が入った。同社は日本新薬と同様、本社は京都にある。4位森永乳業(同55人)、5位アサヒビール(54人)、6位電源開発(51人)までが、入社者50人以上で離職者がゼロだった会社だ。なお2年連続で定着率が100%の会社は、任天堂や10位の宇宙航空開発機構(JAXA)など、28社にのぼる。
電力・ガスやメーカーの定着率が高い
業種別で定着率が最も高いのは、電力・ガスなどのエネルギー(95.6%)だ。事業に安定感があり、それが働きやすさにつながっているのだろう。逆に最も低いのは、小売(75.6%)である。それ以外の業種の平均は、メーカー91.6%、建設・不動産87.1%、情報・通信・同関連ソフト86.9%、金融86.5%、などとなっている。
942社の3年後定着率の平均は88.0%で、前号(前年)比で0.9ポイント減少した。有休取得日数平均は微増、残業時間月平均もわずかながら減っており、働きやすさを示すデータはやや改善傾向が見られているのに、定着率は逆に悪化している。
新卒だけでなく、中途採用市場でも企業の採用意欲は高く、転職しやすい環境が続いている。定着率が下がっているということは、より働きやすい会社を求めて、人材が流出した可能性も考えられる。
ランキングの見方にも注意が必要だ。1位と199位では、定着率で4.2ポイントの差があるが、この程度の差ならあまり大きくこだわる必要はないだろう。しかし、母数である入社者が少ない場合、少し注意が必要だ。極端な話、入社1名の場合、3年後定着率は100%か0%のどちらかになり、その間がない。数字のブレにとらわれず、より実態が分かるように、『就職四季報』には2期分のデータ(3年後離職率)を掲載しているので、ぜひ参考にしてほしい。
就活をまだ始めていない、今の大学3年生(2019年卒生)は、このランキングを見てはじめて知る会社も多いはずだろう。ここで気付いてほしいのは、知名度と働きやすさは必ずしも一致しないということである。
3月1日の広報解禁以降は一気に慌しくなり、企業研究にじっくり取り組む余裕はないと見ておくとよい。それまでの間に、知っている会社を増やして、志望企業群をある程度絞る段階を目指してほしい。そう、すでに就活は始まっているのだ。
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