丸井とゴジラが「異色コラボ」に踏み切る理由 アパレル市場の減退を見据えた新機軸とは?

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「ゴジラ ショウ スペース」の物販コーナー。フィギアやスマホケースなど幅広い商品を取り扱う(撮影:梅谷秀司)

丸井では「ゴジラ ショウ スペース」に先駆けて、2017年10月、「新宿マルイ アネックス」に世界初となるゴジラ公式ショップの常設店「ゴジラ・ストア Tokyo」を開業した。わずか15.5坪の店舗ながら、映画ファンに人気の高いフィギュアやDVDといった定番品、スマホケースなどの限定グッズを中心に約500種類の商品を扱う。

商品展示のノウハウが求められることもあり、「店長には、有楽町マルイ紳士服売場のエース級販売員を投入した」(青木執行役員)。ほかにも、社員4名を常駐させているという。

東宝から持ち込まれた企画だった

ゴジラ・ストアは2年ほど前に、東宝から丸井に持ち込まれた企画だ。東宝は新宿東宝ビルに「ゴジラヘッド」と言われる巨大オブジェを設置していることもあり、「新宿をゴジラの聖地にしたい」との思いがあった。グッズ開発や店舗運営に関するノウハウが乏しかったために、丸井に協力を求めたようだ。

「ゴジラ ショウ スペース」の物販コーナーの入り口では「シン・ゴジラ」のマスクが販売されていた(撮影:梅谷秀司)

一方、丸井はアニメを中心とするコンテンツ関連事業に力を注いできた。2015年10月の開設準備室を経て、2016年4月に「アニメ事業部」を立ち上げた。社内にアニメ好きの社員が多いことに加え、「1部上場企業の中でも、屈指のアニメ好き社長」と称される青井浩社長の存在が発足を後押しした。

アニメ事業部は丸井の中期戦略において、重要な意味を持つ。同社は今2017年度業績が売上高2455億円(前年度比3.6%増)、営業利益350億円(同12%増)と、増収増益の数字を見込む。

足元は好調だが、中期的にはアパレル市場の減退を見据え、「百貨店ビジネスからの事業構造転換」を標榜する。小売業態は従来の百貨店型から、店舗スペースを貸し出して賃料収入を得るショッピングセンター(SC)型へ転換を推進。収益柱のカード事業は、EC(電子商取引)系企業やコンテンツ系企業との連携に力を入れている。

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