「消費増税で教育無償化」なのに法改正なし? 首相への「忖度」で決めず、国会論戦すべきだ

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消費増税を財源に教育無償化を行うとしている安倍首相。必要な金額、何に使うのかを十分に議論しないまま、打ち出されたものだ(撮影:尾形文繁)

2017年9月25日、衆議院解散(9月28日)に向けて「消費増税による増収の使途を組み替え、2兆円規模の財源を教育無償化に使う」と打ち出した安倍晋三首相。これを具現化させた「新しい経済政策パッケージ」が12月8日に閣議決定された。

この政策パッケージのメニューに「高等教育の無償化」などが入ったことにより、消費税の税収使途は元の「社会保障と税の一体改革」の内容から逸脱する可能性が出てきた。そのため、消費税法や社会保障改革プログラム法(持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律)の改正が必要との議論が浮上しそうだ。

11月24日の衆議院厚生労働委員会では、公明党の桝屋敬悟議員が「消費増税の財源の使途を見直すということは、社会保障改革プログラム法の中身を変えることになるのではないか」と質問。加藤勝信厚生労働相は「政策パッケージに盛り込まれた具体的な政策を制度化する際に、最終的には改正の要否を整理していく必要がある」と答えた。

「社会保障と税の一体改革」が使途を限定した理由

2012年に成立した「社会保障と税の一体改革」は、増税によって国民の負担を増やすからには、その税収が持続可能な社会保障制度の強化・確立に使われることを担保するため、厳しく税収の使途を限定した。その後の為政者の都合で使途を変更されないようにするのが狙いだった。

消費税法第1条第2項は、「消費税の収入については、(中略)制度として確立された年金、医療及び介護の社会保障給付並びに少子化に対処するための施策に要する経費に充てるものとする」と定めている。これが消費税の使途を規定した、いわゆる社会保障4経費だ。

このうち、今回関係するのは、「制度として確立された(中略)少子化に対処するための施策に要する経費」だが、具体的にそれを明らかにするのが社会保障改革プログラム法(2013年成立)だ。同法第3条は少子化対策において講ずべき措置として、幼児期の教育および保育その他の子ども・子育て支援の総合的な提供、待機児童解消などを挙げている。そして、子ども・子育て支援法(2012年成立)を、少子化対策における具体的な消費税の受け皿法として位置づけている。

実際、2012年4月の衆議院厚生労働委員会で、当時の小宮山洋子厚労相(民主党)は、「制度として確立された(中略)少子化に対処するための施策」とは、「新システムに挙げているようなもの」と答弁している。新システムとは、当時議論されていた子ども・子育て新システムのこと。具体的には、幼保一元化、待機児童解消、仕事と生活の両立支援の3つを実現するものとして、その後、子ども・子育て支援法など関連3法案にまとめられた。

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