日本の「サイバー攻撃対策」に募る大きな不安

イスラエル発イベントが東京で開かれた意味

実際、日本ではサイバーセキュリティ分野における人材不足が指摘されている。経済産業省が昨年実施した調査によると、日本の情報セキュリティ人材は2016年時点で28万870人である。一方、潜在的に求められる人材は41万2930人に及ぶため、実に約13万人もが不足している状態だという。

東京オリンピックが開催される2020年には、セキュリティ人材への潜在需要がさらに増え続けると予測され、今後その不足数は約19万人まで拡大していくとの見通しが示されている。全体的な情報セキュリティ対策の統括者などについて、5割弱の企業が「不足を感じている」と回答。「必要人数は確保できている」と回答した企業は4分の1にとどまっている。

これまでサイバー攻撃の被害では、個人情報の漏洩などが報道されるケースが多かったが、今後は「IoT」の普及により、工場の生産ラインなど製造業や、国家の重要なインフラなど生活に密接するあらゆる現場に深刻な影響を及ぼしかねない危険性を孕んでいる。たとえば、発電所や鉄道会社などが攻撃を受けた場合、国民の日々の生活が混乱しかねない喫緊の課題だ。

イスラエルが日本に熱視線を向ける理由

すでに、2020年の東京オリンピックに向けて、イスラエル企業の日本でのビジネス拡大を視野に入れた動きが目立ち始めている。彼らに話を聞くと、その多くが日本側のサイバーセキュリティ分野での遅れを指摘する。

「日本企業がサイバーセキュリティにコストをかけるという意識が高まってきたのは、最近のことだ。しかし、攻撃側の成功率は100%で、完全に防御することは難しいと言われているなかで、いまだにサイバー攻撃を仕掛けられてから対応を始めるという受け身の姿勢が根強い。ハッカー側がどのような攻撃を仕掛けてくるか、軍での経験などを生かした優秀なホワイトハッカーを有するイスラエル側と協業する意義は非常に大きい」(イスラエル企業関係者)

イスラエルのサイバーセキュリティに関わる企業は、受け身ではなく攻撃する側のハンターをみずから見つけ出し、彼らのマインドを読み解き、攻撃を逆に「仕掛ける」ような能力をつねに鍛錬しているという。

インテルセキュリティが米国のシンクタンクと協力して日本を含む世界8カ国を対象に実施した国際調査リポートによると、組織幹部がサイバーセキュリティに関するスキルを重視しているかという質問に対し、「非常に重視している」「重視している」と回答した割合は、8カ国の平均76%に対して、日本は最も低い56%だった。サイバーセキュリティの人材育成と確保は、今後脅威が高まる中で喫緊の課題であることは言うまでもない。

すでに、イスラエルのサイバーセキュリティ関連企業とプロジェクトを共にし、頻繁にイスラエルにも出向き、交渉を密にする企業担当者はこう話した。

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