日本の「サイバー攻撃対策」に募る大きな不安 イスラエル発イベントが東京で開かれた意味
今回の「サイバーテック東京2017」はイスラエルと日本政府の協力によって実現した。開催前日の11月29日には「日本・イスラエル・イノベーション・ネットワーク」の第1回が東京で行われた。日本側からは世耕弘成経済産業相、イスラエル側からはエリ・コーヘン経済産業相が出席し、サイバーセキュリティ分野での協力体制や、BtoB連携の加速化などについて合意された。
こうした官民挙げての交流を活発化させようという動きが強まるなか、満を持して開かれた「サイバーテック」日本版には、約2000人の両国政府や企業関係者が来場し、イスラエルで生まれた技術と日本企業とのマッチングなどが行われた。会場では、危機が急速に高まるサイバー攻撃から、さまざまなモノがインターネットでつながる「IoT」を守る方法として、機器同士をつなぐ無線通信の安全性を高める技術などが紹介されていた。
イスラエル軍で諜報活動などを少数精鋭で遂行するインテリジェンス部隊出身(=8200部隊と呼ばれる少数精鋭のエリート集団)の3人が創業したサイバーセキュリティ会社「サイバーリーズン」も会場中央に大きなブースを出展。標的型サイバー攻撃やランサムウェアなどを即座に検知し、対処することが可能な画期的な製品が主力で、AIによる独自の分析ノウハウを用いた解析でサイバー攻撃の兆候をリアルタイムに探知する技術をアピールした。
サイバーリーズンは、組織が抱えるサイバー攻撃対策の課題を解決するクラウドベースのセキュリティソリューションを開発する企業。通信大手のソフトバンクグループが、6月に約110億円を出資して筆頭株主になったことで、日本では大きなニュースとなった。日本国内での知名度も高まっていることもあって多くの企業関係者が集まり、熱心に製品の説明を聞く姿が目立った。
セキュリティ人材の不足が深刻な日本
「サイバーテック東京」に参加していた日本の大手メーカー社員は、「恥ずかしながら、数年前まで『イスラエルは中東の危ない国』というイメージが強かった。最近は認識が急速に変わってきている」としたうえで、職場内で感じる変化も非常に大きいと話す。
「正直、自分の会社でもサイバーセキュリティ分野は、事前に把握できる危機の度合いと、それに対する効果などが測りづらいこともあって、現場レベルではスピーディに対応したいことでも上層部の決裁がなかなか下りないということが多々あった。ただ最近は、サイバーセキュリティ分野への大きな投資も理解を得やすくなって、そこにきちんとおカネをかける感覚が高まっているのを肌で感じる」とし、社内で今後、サイバーセキュリティ分野に資金や人材が投入されることに期待を寄せていた。
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