「入社1年目」へ言ってはいけない3つの言葉 早期離職を防ぐには部下の「タイプ」を学べ

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ある総合商社の新人Aさんは、社会的意義の高い仕事がしたいという理由で今の会社に入社した。インフラやエネルギーなど公共性の高いビジネスにかかわれることが楽しみだったが、配属された部署で待っていたのは先輩の仕事のアシスタント業務。新人だからと手加減されているように感じた。

もっと責任のある仕事がしたいし、意味のない仕事を押し付けられて残業するなんてありえない。そこで上司や先輩に早く認められればいいと考え、「この仕事にはどんな意味があるんですか?」「この仕事のやり方の根拠を教えてください」と積極的に発言した。

ところが上司はそんな自分を煙たがっている様子。Aさんは、上司のせいでやりたい仕事ができないと不信感を募らせていた。

Aさんのように目的意識が高い「なぜ?なぜ?タイプ」は、近年非常に増えている。彼らは仕事のモチベーションに金銭よりも社会的意義を挙げる傾向にあり、学生時代はインターンやNPOといった活動にも積極的で、志の高さから優秀な学生という評判で入社してくる。しかし、いざ現場で育成を任された上司の皆さんからすると、「理屈っぽくて素直さや行動力に欠ける」「夢ばかり大きく、実力が伴っていない」と感じる瞬間も少なくない。意味のない社内の飲み会には参加しないという姿勢を貫くあまり、協調性がないと見えてしまうこともある。

「なぜ?なぜ?タイプ」へのNGワード

しかし、Aさんの本音から見えてくることがある。「なぜ?なぜ?タイプ」は非常に成長意欲が高いと同時に、論理的にものごとをとらえようとするのが強みであることだ。一見すると協調性がないように思えるが、そう見えるのは、無駄を嫌う生産性への意識の高さや、「目的へ最短距離で到達したい」という姿勢によるものである場合も多い。このタイプの新人に、パワーマネジメントスタイルで「とりあえずやろう」や「新人なんだから言われたとおりに」と伝えてしまうのはNGだ。

こういったタイプには、仕事の全体感を踏まえて、今の仕事が、世の中に対してどんな影響や価値を生んでいるのか、その意義やつながりを丁寧に説明すると、本人も腹落ちしやすい。「社会に価値を創りたい」など志は崇高だが、新人自身ではそれがどういうことかを具体化・言語化できていないケースも多いのだ。

また、一方通行で説明するだけでなく、本人になるべく判断させることも大切だ。Aさんのケースでは、「なぜ?」と質問されたとき、「キミはどう思う?」「どうするべき?」と考えさせ、そこから論理的に対話を行うことで、Aさんが求めていた仕事の意味を自身で見いだせるように促した。

それでも自信過剰な新入社員には、あえて顧客とのやり取りを1人で任せ、クレームになるまで手を出さずに見守ることで、自身のレベルを自覚させるようなつわものの先輩もいる。

こうして、ひとたび仕事の意義と自身のレベルの自覚が腹落ちすれば成長は早い。もともと論理派だったAさんは、その差をどうしたら埋められるのかを考えた結果、ビジネススキルの基礎を磨くためには先輩と一緒に動く仕事も大切だと気づき、今では現場でしっかり活躍している。

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