すき家の決断「牛丼並盛以外を値上げ」の衝撃 小川会長「人件費上昇が主な理由ではない」

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小川賢太郎(おがわ けんたろう)/ゼンショーホールディングス会長兼社長。1948年7月29日生まれ、石川県出身。都立新宿高等学校卒業。1971年、東京大学中退。1982年、横浜市にゼンショーを設立、牛丼チェーン「すき家」を展開。2000年、ココスジャパン会長(現任)。2007年、サンデーサン(現ジョリーパスタ)会長(現任)。2011年からゼンショーホールディングス会長兼社長(筆者撮影)

——コメの価格も上がっている。

コメの価格は前年同期比で9%上昇した。こちらは、日本人のコメ消費の減少を受け、過去30年間、ほぼ一貫して値下がりが続いてきた。我々が「すき家」を始めた頃は1俵2万円が相場だったが、今は1俵1万2000円だ。需要が減っているのに供給が同じだと価格は暴落する。そこで政府は長年、減反政策をとってきた。

先進的な農家は「1俵1万円時代」を睨んで生産効率を上げることに取り組んでいる。それでも国際的には割高だが、品質を考えれば1キログラム200円なら国際的にも何とか戦えるレベルだろう。

需要減に減反が追いつかず、価格が下がるというのがコメ市場の構造だったが、この数年で状況が変わった。コメを作らない農家に金をバラまく減反政策は国民に評判が悪かったので、政府は3年前「飼料米奨励制度」を作った。人間が食べるコメから家畜が食べるコメに切り替えた農家に補助金を出す制度だ。

人間が食べるコメの供給量が減った

多くの農家が飼料米に切り替えたため、人間が食べるコメの供給量が減った。これによりコメの価格が上昇に転じた。すき家が牛丼に使うコメの価格は前年同期比で9%値上がりしている。政府は飼料米奨励制度を続けるようなので、コメ価格もしばらくは高止まりすると見ている。2大食材の牛肉とコメの値段の高止まりが続くため、値上げをお願いせざるをえないと判断した。

——パート・アルバイトの募集時平均時給も前年同期比で2.2%上昇している。

それは事実だが、あらゆる企業にとって同じことだから、値上げの理由にカウントしたくない。売り上げに対する比率で見れば、先の2大原材料が圧倒的要因だ。

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