三陸鉄道と養命酒「珍コンビ」が狙うものは? 冬の名物「こたつ列車」体の芯からポカポカ?

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キャンペーンの対象は、主要顧客層である中高年ではなく、もっぱら若年層。メジャーな媒体で告知をすると若年層は冷めてしまうので、SNSを通じた口コミでの拡散を狙っているという。

三陸鉄道の車両、なまはげ「なもみ」、そしてゆるキャラ「瓶くん」(写真:養命酒製造)

養命酒の主要顧客層は高齢化が進んでおり、若年層への裾野拡大は喫緊の課題だが、祖父母世代と同居していない今の子供は養命酒を知る機会がない。タレントの藤井隆・乙葉夫妻をCMに起用して顧客の年齢層の拡大を図ってはいるものの、養命酒の販売は苦戦を強いられている。

養命酒は第2類医薬品に該当しているため、ドラッグストアではで売られているものの、スーパーには置けない。薬事法で禁じられているため試飲販売もできず、「知ってもらう」手段は限られる。

そこへ、今年6月の改正酒税法施行で小売り価格が上昇、販売数量に多大な影響を与えた。

出所:筆者作成

会社の財務体質は盤石だが…

養命酒はアルコール分を14%含むので、酒税法の規制対象でもある。今年6月の改正酒税法はメーカーから小売りに至るまで、酒類を扱う全ての事業者に原価割れでの販売を禁じている。

「瓶くん」「箱さん」の名刺(撮影:尾形文繁)

その影響で、養命酒は出荷価格を引き上げていないにもかかわらず、改正前は消費税込みで1500~2000円前後だった1000ミリリットル瓶の小売価格が、2100~2300円前後にハネ上がってしまった。

会社は無借金で内部留保は年商の3倍以上あり、財務体質は盤石だが、将来への危機感は強い。近年は多額の研究開発費を投じ、スーパーやコンビニで扱える、養命酒以外のハーブ系の酒類やエイジングケア商品を積極的に投入している。

一連のキャンペーンで養命酒を知った若者が、すぐに養命酒を手に取る可能性は低いが、スーパーやコンビニに並ぶ商品の中に、同社製の製品があることに気づくだけでも、このキャンペーンは成功と言えるのではないだろうか。

永谷 薫 東洋経済 記者

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ながや かおる / Kaoru Nagaya

繊維、化学、小売りなどの業界を幅広く担当。

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