日本人が知らない「アストンマーチン」の実像 イギリスの超高級スポーツカーの歩みと強み
実はイギリスには類を見ない少量生産スポーツカーを作るためのサプライチェーンが存在している。ロータスを代表とするようなバックヤードビルダーと呼ばれる小さなファクトリーたちが健在なのだ。ハンドメードでイチからクルマを作り上げるという文化が根付いており、世界的に見て希少な熟練者のマンパワーもある。
また、そういった手作りスポーツカーを公道走行可能とするための法的なバックアップもイギリスは積極的に行っている。伝統的なスポーツカー文化が今も根強く残り、それを食い扶持とするメカニックたちも健在である。
アストンマーティンの最新モデルがDB11だ。昨年に発表され、現在、順調にデリバリーが進んでいる。開発において最もコストがかかるというプラットフォーム(シャーシ)も一新し、メルセデス・ベンツとの技術提携でエンジン供給を得ることになったこのモデルはアストンマーティンの今後を担うモデル。2017年の全世界生産台数もDB11の追い風もあり前年比で30%アップが予測されているという。
そしてフェラーリの最高価格モデルにも匹敵するような、150台限定生産のスーパースポーツ「ヴァルキリー」などラインナップに話題は欠かない。さらに「セカンドセンチュリープラン」と題して発表された最新プランでは、2016年以降、7年間に7つのニューモデルを発表していくという意欲的な発表も行われている。
ブランディングをより強固にするために
スポーツカーメーカーとしてのブランディングをより強固にするためにモータースポーツ参戦にも余念はない。世界の耐久レースへの参戦に加えてレッドブルとの提携を行い、レッドブル・アストンマーチンF1チームが来シーズにはスタートする。スーパ―スポーツメーカーの雄であるフェラーリのモータースポーツへのコミットが大きなお手本ともなっている。
現在、勢いのあるアストンマーティンには同業他社より優秀な人材がどんどん流入している。トップであるパーマーCEOにしても日産自動車で重要な立場として経営を担ったマネジメントのプロだ。
付け加えるなら、日本の自動車メーカーのマネジメントを行ったパーマーは日本のマーケットをよく理解しているし、夫人が日本人ということもあり日本の文化にも精通している。そんな意味でも日本の市場への期待が高いということは、今までの数々の発言からもうかがえる。
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