中国初の国産ジェット”ARJ21”初飛行へ、深まる米中の航空蜜月

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中国でもリージョナルジェットのプロジェクトが大詰めを迎えている。国有企業・中国航空工業第一集団(AVIC�)が中国初の国産ジェット旅客機として開発を進めてきた「ARJ21」。10月にも初飛行を控え、2009年には国内航空会社に納入される見通しだ。「燃費効率など性能水準では、MRJにはるかに及ばない」(日本の航空関係者)とされるが、ロシア・スホイの「スーパージェット」と並び、MRJの強力なライバルとなりそうだ。

ARJ21は約90席の700型と約120席の900型の2種類。中国政府は国内230空港を整備し、膨張する都市間移動の手段として空路の発展に力を入れている。ここに生じる最大700機という小型ジェット機需要に応えるため、約900億円を投じ、ARJ21は02年に開発が始まった。すでに山東航空などから130機余りを受注。300機程度売れば投資回収が可能とみられ、国内だけで採算ベースに乗る公算だ。

型式証明取得に向け「米国も最大限の努力」

だがすでに開発当初から、AVIC�は海外にもARJ21を売り込む方針を明らかにしている。

そこで最大の壁となるのは、型式証明の取得。特に米国連邦航空局(FAA)と欧州航空安全庁(EASA)の認証は事実上の国際標準。そのハードルの高さから、「ARJ21は中国国内で売れても、海外では極めて困難」(別の航空関係者)という見方も少なくない。

しかしARJ21は、型式証明対策への布石をとうに打ってある。

「ここ上海にFAA事務所を開設できることを喜ばしく受け止めています」。05年2月、訪中したFAAのマリオン・ブレイキー局長(当時)は中国の航空関係者を前に満面の笑顔であいさつした。

現在、中国には上海と北京の2カ所にFAAの在外事務所があるが、中国以外にFAA事務所開設の例はない。翌06年に開かれた米中航空当局の幹部会談では、700型の認証作業に最大限の努力をすることを米国側が明言している。いわば米中両国は、ARJ21プロジェクトにおいて蜜月関係と言っていいのだ。

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