私のサービス論 「日興のATM網は日本最高レベルです」

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私のサービス論 「日興のATM網は日本最高レベルです」

サービスがサービス産業の専売特許であったのははるか昔の話。今やサービスは、あらゆる産業にとって最優先課題になっている。日本の名だたる企業のトップたちは、「サービス」をどう定義し、具体的にどのようなサービスを実践しているのか?各社のトップに聞いた。
(『週刊東洋経済8月11日・18日合併号の特別版』)

Q.御社にとって、「サービス」とは何ですか?

 2007年度の当社の経営方針は、「お客様に安心してお取引いただける、国内最高の金融サービス会社を目指す」です。 私たちの、金融サービスのすべての基準はお客様にあります。「お客様に安心してお取引いただく」ために、徹底した人材育成を通じて、常にお客様を中心に行動し、十分な金融知識を備えた社員が、法律や制度変更を認識した上で、お客様にとって最高の金融商品をわかりやすくご提案し、アフターケアをしっかりと継続すること、それが当社の定義する「サービス」です。

 また法人のお客様に関しては、「企業活動のグローバル化」や、資本政策やM&Aなどを通じた「企業価値の向上」というお客様ニーズに積極的に対応するため、シティグループのグローバルネットワークと信用力、シティバンクの銀行機能を組み合わせることで特徴のある、国内最高のサービスをご提供し、最も日本的で最もグローバルな国内屈指の金融グループを実現していきます。

Q.御社のサービスの具体例を教えてください。

(1)支店を中心とする担当者による対面ならではのきめ細かい資産運用相談・提案に加えて、コールセンターのオペレーターによる電話での受発注および商品情報や市況情報、価格情報の提供、また、WEB・メールによるインターネット上のサービスチャネルを用意し、お客様のニーズ・環境に応じて快適にサービスを提供できるようワンストップ・チャネルを実現。

(2)世界最高の金融商品を世界中から選別する、「ベストプロダクト・ポリシー」と呼ばれる考え方に基づいて、シティグループの持つ世界規模のネットワークも活用しながら、世界中の資産運用会社から最高の金融商品を取り揃え、お客様へ提供。

(3)お客様のニーズに応じ、支店の担当者に加え専任部署によるWサポート体制を構築、充実したフォロー、アフターケアを図っております。

(4)株式アドバイスセンター:経験豊かな株式専任部署のアドバイザーが、株式関連の情報提供から注文執行、その後のフォローを行うサービスを提供。

(5)グローバル投信アドバイスセンター:購入後の投資信託の運用状況等の定期的な報告やアドバイスを提供。

(6)保険デスク:当社でお取り扱いしている保険商品の手続きやご案内。

(7)日興プラチナデビットカードにより世界初の円・米ドルの2通貨決済VISAデビットカード機能を導入、国内では「円」で、海外では「米ドル」で決済される先進的なカードサービスを提供しています。

(8)日本初のSMAサービス「日興SMA」を導入し、お客様ごとに異なる運用ニーズに、きめ細かくお応えできるオーダーメイドの資産運用サービスを提供しています。

(9)コンビニや金融機関との提携を通じ、全国75000台のATMによるサービスを提供し証券会社として日本最高レベルのATMネットワークを構築。

(10)金融商品取引法や、株券電子化等の制度変更を十分に研究し、お客様にとってわかりやすい資料の提供を行い、資本市場において時代の流れに沿った資金調達や運用のお手伝いをする。

(11)業界最高レベルの有価証券分析システム(NBA)を法人のお客様に提供し、例えばバーゼル�に対応した保有資産のポートフォリオの見直しなど、トータル・アドバイスを実施。更に分析有価証券の範囲を広げるなど時代の変化に即応した機能を拡充。

(12)M&A部隊の人員増強など、時代の流れを捉えた、革新的でお客様ニーズに即した体制の強化。

 Q.サービスを定着・向上させるために、どのような取り組みを行っていますか?

(1)徹底した人材育成

・研修制度は、年代や職務に応じて行う必修型と、社員の自己啓発に対応した自主参加型があります。開催形式としては、集合研修、選抜研修、イントラネットを活用したe-Learning(Cordial Learning System)での自習型研修、通信教育受講の4つを設けています。

・ QSF(Quick Scan Feedback)の導入…QSFとは、新入社員に対して自己評価と多方面からのフィードバックを通じて継続的な気づきを与え、望ましい行動の習慣化・定着化を図る「行動習慣化ツール」です。新人の育成状況を多面的に把握「見える化」することで、より具体的かつ効果的なコミュニケーションや指導、研修企画が可能になります。新入社員とコンセンサスの取れたコミュニケーションを通じて、同時に育成指導者の能力開発も行なえます。(その後は、一人ひとりが持つ潜在能力を最大限に開発できるように、多種多様なプログラムを提供しております。様々な研修を通じ、総合金融サービスグループにふさわしいサービス提供を実現しています。)

(2)世界最大・最高のネットワーク

・米国では世界最大の金融機関であるシティグループ、欧州ではLCFエドモン・ドゥ・ロスチャイルドと提携関係を結ぶなど、欧米における強固なネットワークを背景に世界最大、最高水準の金融商品を提供することができます。

(3)お客様の声を直接反映させるシステム

・日興コーディアル証券では、お客様のご意見に迅速に対応するため、2001年9月にお客様相談室を設置しました。「お客様のご意見ご要望の取りまとめと対応」、「会社としての対応策の取りまとめ」、「お客様満足度(以下「CS」)調査の実施とその分析評価」を行っています。専任スタッフが、日々の対応と再発防止・未然防止策の検討、そして現場である営業店の指導を行っております。現場である営業店と本社部門を連携させてお客様との信頼関係を築き、サービスを向上させる機能を果たしています。

・そして、様々なサービスの効果、満足度を定量的に把握する手段として、全営業店のお客様を対象に実施するCSアンケート調査を2000年から7年間、継続して実施しています。CSアンケート調査は半期に一回、外部機関に委託して行われます。日興コーディアル証券のお客様から無作為抽出して調査票を郵送し、回答していただく方式です。調査分析結果は営業店へフィードバックされ、営業店CS推進担当者が中心となって改善活動を行っていきます。

・2001年に発足した「CS・ES向上委員会は」、社長を委員長として役員、部長、関連部署担当者およびオブザーバーが出席する定例会議体です。お客様からいただいたご意見やご要望、就業者からの声に基づいて、課題事項を検討し、対応策を決定します。毎月開催しています。

・法人についても同様にCS調査を実施しており、多様化する金融ニーズに応えられるよう、総合的な金融ソリューションの提供に役立てています。

北林幹生(きたばやし・みきお)
1953年広島県生まれ。明治大学経営学部卒業後、日興証券(現日興コーディアルグループ)入社。2006年12月より現職。

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