章男社長「生きるか死ぬかの戦いに力を結集」 トヨタが副社長を2人増員へ

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 11月28日、トヨタ自動車は、新しい副社長に、中型車を担当する吉田守孝(60)、コネクテッド(ネットにつながる車)や新規事業などを担当する友山茂樹(59)の両専務役員、相談役でデンソーの小林耕士副会長(69)をあてる人事を発表した。来年1月1日付。写真は同社ロゴ。カリフォルニアで10月撮影(2017年 ロイター/Stephen Lam)

[東京 28日 ロイター] - トヨタ自動車<7203.T>は28日、新しい副社長に、中型車を担当する吉田守孝(60)、コネクテッド(ネットにつながる車)や新規事業などを担当する友山茂樹(59)の両専務役員、相談役でデンソー<6902.T>の小林耕士副会長(69)をあてる人事を発表した。

来年1月1日付。車の自動運転や電動化、コネクテッドの時代に向けて体制強化を図る。

トヨタの役員人事は4月が慣例で、1月に行うのは異例。今回は執行役員と組織の変更時期を合わせ、現場と一体となり執行スピードの加速を狙う。現在4人の副社長を2人増やし、6人にする。永田理副社長(60)は退くが、取締役として残る。永田氏に代わり、小林氏が最高財務責任者(CFO)を務め、チーフ・リスク・オフィサーも担う。

今回の体制変更について豊田章男社長(61)は、自動車業界の100年に1度という大変革の時代に「グループとして立ち向かっていくという意志を込めた」とコメント。「次の100年も自動車メーカーがモビリティ社会の主役を張れる保障はどこにもない。『勝つか負けるか』ではなく、まさに『生きるか死ぬか』という瀬戸際の戦いが始まっている」と指摘し、他社や他業界との提携も進めるが、「その前にトヨタグループが持てる力を結集することが不可欠」と述べた。

小林氏は豊田社長からの信頼が厚く、トヨタでは経理・財務などを担当。2003年にデンソーに入社、15年6月から同社副会長に就いている。吉田氏は新車開発の新たな設計手法「TNGA」の改革推進を担い、商品力強化とコスト削減の両立に向けた取り組みを加速。友山氏は引き続き情報システムやコネクテッド分野を強化するほか、生産部門以外でもトヨタ生産方式(TPS)を展開して生産性向上を図るため新設したTPS本部の本部長も務める。

副社長格の技術役員として「フェロー」の役職を新設し、人工知能(AI)研究の米子会社トヨタ・リサーチ・インスティテュート(TRI)のギル・プラット最高経営責任者(CEO、56)が就任する。

<伊勢専務がアイシン精機社長、初の生え抜き女性常務も>

トヨタの伊勢清貴専務役員(62)はグループ部品大手、アイシン精機<7259.T>の社長に就く予定。伊原保守現社長(66)は相談役に就任する。来年6月に開く定時株主総会後の取締役会で正式決定する。15年4月にトヨタに招聘(しょうへい)された水島寿之専務役員(58)はアイシン精機に戻り、同社副社長に就く。

アイシン精機傘下で走行安全分野を担い、ブレーキシステム事業を手掛けるアドヴィックスの小木曽聡社長(56)が専務役員としてトヨタに戻り、CV(商用車)カンパニーのプレジデントに就任する。アドヴィックスの新社長にトヨタの大竹哲也(57)専務役員が就く予定。

常務役員には生え抜きの女性社員として初めて、高級車ブランドのレクサス部門の加古慈(かこ・ちか)チーフエンジニア(50)が就任する。このほか新任常務役員には、アフリカ本部長として豊田通商<8015.T>の今井斗志光執行役員(52)を招く。三井住友銀行の福留朗裕常務執行役員(54)も迎え、販売金融事業本部長とトヨタファイナンシャルサービス社長を兼務する。

 

(白木真紀)

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