神鋼だけ?鉄鋼業界に求められる「一斉点検」 9年前に「業界ぐるみ」の改ざんが起きていた

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神戸製鋼所の神戸製鉄所の高炉。今年10月末に操業を休止した(撮影:ヒラオカスタジオ)

日本の製造業の信頼性をも揺るがす事態となった神戸製鋼所の品質データ改ざん・捏造問題。実は今から9年前の2008年、鉄鋼業界で「業界ぐるみ」といっても過言ではない不祥事があったことはあまり知られていない。

時計の針を9年前に戻そう。発端は、2008年5月22日の一部報道を機に明らかになったJFEスチール(JFEホールディングス傘下の中核企業)による強度試験データの捏造だった。米国石油協会の規格に基づいて製造した石油パイプライン用などの鋼管2400本強について、同規格に基づいて実施すべき水圧試験を行っていなかった。

次々と発覚したJIS規格違反

その1週間後には、新日本製鉄(現在の新日鉄住金)の子会社であるニッタイ(現・日鉄住金ステンレス鋼管)の野田工場が、それまで5年間にわたって製造した配管用のステンレス鋼管12万本あまりについて、日本工業規格(JIS)で定められた水圧試験を行わず、試験データを捏造し、「新日鉄ブランド」で出荷していたことが発覚。工場長が試験の省略を指示していたことも明らかになり、JIS認証を取り消された。

こうした事態を受け、経済産業省は業界団体である日本鉄鋼連盟を通じ、加盟企業に品質に関する法令・規格の順守状況について総点検を行い、その結果を早急に報告するよう要請した。

すると規格違反が次々と発覚する。日新製鋼がステンレス鋼管55万本強についてJISが義務づける耐圧検査などを実施せずに出荷していたと公表、当該製品の出荷停止に追い込まれた。やはり同社でも、製造所長自身が検査データ捏造を認識していた。

さらには神鋼子会社の日本高周波鋼業でJISなどが定める鋼材の強度試験を実施していないことが発覚。また、日本冶金工業の子会社であるナストーアの茅ヶ崎製造所でも、ステンレス鋼管約97万本についてJISが規定する水圧試験または非破壊検査を実施していないことが社内調査で判明。いずれもJIS認証を取り消されている。

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