トランプ・アジア歴訪で喜んだ国、戸惑った国 アジアの指導者のうち少なくとも2人は満足

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日本、韓国、中国、ベトナム、フィリピンの各首都を訪問するなかで、トランプ大統領は、国連制裁を無視して核兵器開発を強行する北朝鮮への圧力を強化するため、一致団結して取り組むよう呼びかけた。

しかし一方で、同大統領は、ベトナムで開催されたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の場で、アジアと米国の貿易不均衡を是正することが「アメリカ・ファースト」政策の根幹であり、米労働者を守ることにつながると明言した。

トランプ大統領のこうした見方は、多国間貿易協定を支持するというコンセンサスを覆すものだ。現在、アジア地域でこうした協定の擁護者は中国である。ベトナムではAPEC首脳会議に合わせて、環太平洋連携協定(TPP)に参加する11カ国は、新協定に関する閣僚間の大筋合意内容を正式に発表した。トランプ大統領は、米国民の仕事を守るためとしてTPP不参加を表明している。

ASEAN主要加盟国のある閣僚は、トランプ大統領が推進する2国間協定について、アジアはあまり乗り気ではないとロイターに語った。

「シンガポールのリー首相が指摘したように、米国にとって2国間協定がそれほど魅力的な理由は、まさに米国と1対1の協定を誰も結びたがらない理由にあると言える。2国間では米国にいじめられかねないからね」と、この閣僚は匿名で語った。

「誰がそのようなものに署名したいと思うだろうか」

取引の極意

トランプ大統領は帰国前、記者団に対し、「少なくとも3000億ドル(約34兆円)、あるいはその3倍」規模の契約を結んだと胸を張った。

米産業界はトランプ大統領の中国訪問で約2500億ドルの商談をまとめたが、その多くは法的拘束力がない。米産業界がずっと不満を訴えてきた中国市場へのアクセスや先端技術共有の緩和については、進展が見られなかった。

国内での支持率が低迷し、米大統領選における「ロシア疑惑」捜査が足かせとなっているトランプ大統領にとって、こうした契約の数々は重要な手土産となる。

「中国との何十億ドル規模の契約は、米国の貿易赤字を減らす助けにはならないかもしれない」と、日本の元外交官は匿名で語った。「だが、産業界の一行を連れて中国訪問したことで、土産を手に帰国することができたと国民に話すことは可能だ」

トランプ大統領の歴訪による重要な成果はほとんどなかったものの、中国からの高まる主張を不安視するアジア諸国は、トランプ政権が今でも同地域にコミットしている証しとして、今回の訪問を歓迎したかもしれない。

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