「首都圏大手私鉄」急行や快速の停車駅戦略 ほとんど1駅おきに停まる「急行」もある

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これらの列車の速達性と、近距離の普通列車の利便性を両立することに苦心してきたが、これが複々線によって可能になる。一方で、新ダイヤでは長距離向けの快速急行が登戸にも停車することになった。

現在の停車パターンとダイヤの難点はほかにもあり、世田谷区内など都心寄りの各駅停車しか停車しない駅の本数が少なく、どうしても列車の間隔が空いてしまうことである。ラッシュ時間帯でも7分程度列車が来ないことがあるほか、昼間はこれらの駅は1時間当たり6本の運転だ。

新ダイヤでは、準急の停車駅に狛江・祖師ヶ谷大蔵・千歳船橋の3駅が追加されることで、各停しか停まらない駅の中でも特に利用者の多いこれらの駅は、使える本数が増えることになる。

複線でどのように利用者をさばくか

一方、東急・西武・京成・京急は、各社とも一部に複々線があるものの、基本的には複線となっている。

遠距離と近距離利用者を分ける「遠近分離」の観点からはよくできているといえるのが西武池袋線と新宿線だ。池袋線は特急と座席指定列車「Sトレイン」を除いて7つの種別があり、1つの路線としては種別が極めて多い。停車パターンも石神井公園を通勤準急が、ひばりヶ丘を通勤急行が通過するといった特徴あるスタイルとなっている。種別が多く停車駅も複雑だが、特に朝ラッシュ時は駅によって利用できる種別を細かく変えることで利用者の分離を図っている。

一方、新宿線は通勤急行・急行・準急・各駅停車の4種別とシンプルで、停車パターンも池袋から離れるにつれて下位の列車から停車駅が増えていくというわかりやすい形だ。

一方、複線ではさばききれないほどの混雑が問題になっているのが東急田園都市線だ。同線は急行・準急・各停の3つの種別があるが、通勤時間帯には準急と各駅停車のみ運転している。準急は、中央林間―二子玉川間は急行と同じ停車駅だが、二子玉川―渋谷間は各駅に停車する。多くの鉄道では「準急」というと都心部から離れたエリアで各駅に停車するパターンが多いが、田園都市線の場合はこの逆だ。

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