「首都圏大手私鉄」急行や快速の停車駅戦略 ほとんど1駅おきに停まる「急行」もある

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同線は、東京23区では5番目に人口の多い足立区を走っている。同区の人口は69万人程度。その先にある埼玉県草加市の人口は25万人程度、同県越谷市は34万人程度。いずれも、ちょっとした県庁所在地程度の人口があるのだ。東武スカイツリーラインは、これらの地域と都心部を結ぶ役割を一手に担っている。

だが、混雑率は最も混み合う小菅―北千住間でも150%で、首都圏では決して高い部類ではない。さまざまな編成があるものの、平均して8.4両編成の列車が、7時30分から8時30分までの間に40本走る(『数字でみる鉄道2016』。以下この資料を参照)。時刻表を見てみると、通勤時間帯には谷塚駅や梅島駅といった普通しか停車しない駅でも、2~4分おきに列車がある一方で、草加駅や西新井駅といった急行停車駅では、これに加えて急行や準急なども3~5分おきにやってくる。このような本数の多さは複々線があるからこそで、混雑率の低さにつながっている。

小田急は停車駅も大きく変わる

複々線といえば、最近注目を集めているのは小田急だ。東北沢―世田谷代田間の複々線化工事が2018年3月に完了すると、登戸―代々木上原間約11.7kmの複々線がすべて完成し、併せてダイヤ改正が行われる。

11月1日に発表された新ダイヤでは、停車駅のパターンもこれまでと変わることが明らかになった。特急を除く小田急の列車種別は、現在は快速急行・急行・多摩急行・準急・各停の5種。これが快速急行・急行・準急・各停と、朝ラッシュ時上りのみの通勤急行・通勤準急の計6種に再編される。

利用者の多い駅が複々線区間内に目立つ東武スカイツリーラインと比べると、小田急の場合は複々線区間より先の町田や海老名、本厚木など、新宿から30km以上離れたエリアからの利用者が非常に多い。このため、快速急行は都心寄りでは大半の駅を通過し、遠距離利用者向けの停車パターンとしている。一方で、10~20km圏内でも多くの人を運ばなくてはならず、この区間の主要駅向けの優等列車も必要だ。

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