西武S-TRAINは「観光列車」として使えるか

横浜―秩父2時間の旅、乗ってわかった問題点

では、S-TRAINの実際の使い勝手は、どのようなものなのか。土休日に運転される横浜7時09分発、西武秩父9時15分着のS-TRAINに実際に乗車し、秩父観光に出かけて感じたことをお伝えしたい。

まず、S-TRAINに乗車するには、乗車する列車および座席を指定する「列車指定券」を購入する必要がある。乗車の1カ月前から、ネット、駅券売機、窓口等で購入できる。ネットの場合、西武鉄道のチケットレスサービス「スムーズ」で購入する方法と、「インターネット予約サービス」で予約し、駅窓口または券売機で購入する方法があるが、これらは別々のサービスとして提供されている。

このうち、「スムーズ」は、あらかじめ登録したクレジットカードで「積立ポイント」を積み立て、その積立ポイントから特急券・指定券を購入後、乗車できるサービスだ。ネット購入券を画面上で表示可能なスマートフォンやタブレットがあれば、駅で特急券や指定券を発券せずに、そのまま乗車できる。10月14日からは座席表から好きな座席を選んで購入できるサービスが追加されるなど便利である反面、積立ポイントの最低額が1000円であるため、西武鉄道を普段から利用しないユーザーにはおすすめできない。なお、「インターネット予約サービス」や券売機では、座席表から座席を指定することができないため、スムーズを使わずに、好みの座席を指定したい場合は、駅窓口に行かなければならない。

観光目的には苦しいか

さて、S-TRAINに使用されている40000系車両に実際に乗車すると、車内広告を廃し、デジタルサイネージ「スマイルビジョン」を多数配置したことや、窓を大きめにしたことなどから、スッキリと洗練された印象を受ける。

40000系のロングシート(撮影:尾形文繁)

同時に、全席指定の優等列車としての運用と、通常の通勤列車としての運用の両方に使える仕様になっているため、”どっちつかず”という印象も受ける。

ぐるりと回転して(撮影:尾形文繁)

座席を探す際に少し戸惑ったのが、洗練されたデザインを狙ってのことか、座席番号を記した金属のプレートが、周囲に溶け込みすぎていて、どこに表示されているのかわかりづらいことだ。

クロスシートに早変わり(撮影:尾形文繁)

そして最大の問題点は座席だ。メインのシートはロングシートとクロスシート両方に転換可能ないわゆる” デュアルシート”であり、車両の両端部分のみ、3人掛けの固定ロングシートが採用されている。クロスシートは手動で回転させ、向かい合わせにすることができるので、団体での利用にはうれしい。

しかし、残念なことにリクライニング機能がない。横浜から秩父まで2時間の移動で、しかも、指定席料金を払っていることを考えれば、リクライニング機能が欲しいというのは、多くの人が思うことではないか。

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