トヨタ、連続減益を回避しても喜べない理由 円安追い風だが、北米市場の戦いがカギ握る
トヨタ自動車が18年ぶりとなる2期連続の営業減益を回避しそうだ。
トヨタは11月7日、2018年3月期の営業利益見通しを上方修正した。1500億円増額の2兆円(前期比0.3%増)となる業績予想を発表。当初の減益予想から一転して増益予想になった。為替を円安方向に見直したことが効き、利益を押し上げた。為替見通しの修正は8月の第1四半期(4~6月)決算発表時に続く。
為替分を除けば減益決算に
トヨタの豊田章男社長は5月の期初決算発表で「2期連続減益はスポーツの世界でいえば連敗」と話し、その後に収益改善活動を徹底してきた経緯がある。ただ為替分を除けばマイナスになる見通しは変わらず、笑顔なき決算発表となった。今期の売上高は前期比3.3%増の28兆5000億円、純利益は同6.5%増の1兆9500億円を予想する。
為替による追い風が吹いた影響は大きい。期初見通しでは1ドル105円とみて、為替変動分だけで前期よりも1100億円の減益を見込んでいたが、8月と今回11月の修正発表を経て、現在の為替レートは1ドル111円に設定。為替だけで一転して1750億円の増益を見込む。さらにスワップ評価損益も含めると利益押し上げ効果は1900億円に上る。
トヨタは国内で約300万台を生産し、その半分の約150万台を輸出しており、為替変動の影響を大きく受ける構図だ。為替が1ドルに対して1円動くだけで利益は約400億円も変動する。
だが、為替やスワップの追い風があったにもかかわらず、前期に比べての増益幅はわずか57億円にとどまる。同日会見した永田理副社長は「為替変動の影響が多くあった。実力としては前期比で1850億円の減益だ。まだまだと思っている」と率直に話した。その改善こそが“神風”に頼らない本格的な回復ができるかどうかを占う。
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