マネーフォワードが上場後に狙っていること 話題の新興企業トップにロングインタビュー

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:金融庁や役所に対してネガティブなイメージを持っていらっしゃる方もいるかもしれませんが、最近いろいろとご一緒させていただく機会が増えて感じたことは、皆さん本当に強い思いをもってやられているし、本当に優秀な方が多いということです。実はやるべきことをしっかりやられていると思うんですね。成長戦略の中の6分野の1つにフィンテックが掲げられていますし、オープンAPIの拡大についても導入目標を示してこられました。日本のフィンテックはAPIをはじめ、諸外国と比べても進んでるところがあるんですから。そういう点は日本も捨てたもんじゃないですね。

朝倉:国としてフィンテックを広めていかなければいけないという時代背景と、辻さんたちの「金融サービスをよくしたい」という思いがうまくマッチしたということですね。

:瀧も僕もアメリカに留学した経験があって、アメリカの動きを割と理解していると思うんですが、アメリカのイノベーションを起こす仕組みってすばらしいじゃないですか。

あのチャレンジ精神やオープンな環境といった文化がないと、いつまで経っても新しい会社が生まれてこないし、ユーザーにとってよいサービスが生まれてこないということが、実感としてあったんです。ですので、フィンテックの領域でそういう文化を作っていきたいという思いはありましたね。

小林:社外取締役の構成を見ても、金融業界を中心に、非常に経験豊富な方々が入られていますね。これも業界や社会全体を見据えて、理想的なボードを作っていこうというイメージをお持ちだったんですか?

:そうですね。自分が体験したことはイメージできるんですが、体験していないステージに行くときにはわからないことが多々あるなと思い、そうした知見を持っている方々に入っていただきたいと考えていました。

強く印象に残っているのが、あるサービスを作ろうとしたときのことです。ある程度収益が期待でき、なおかつユーザーさんにもそこそこの価値はあるサービスだったんですけど、社外取締役の方々から「君たちはもっと大きな価値を社会に届けたいんじゃないのか?」と言われました。目の前の収益を追うあまり、本質的なことを見失っていないか、という指摘をされたんですよね。それで、そのサービスを作ることはすぐにやめたんです。説得力が違いますね、やっぱり。取締役会では本当に本質的な議論をさせていただいています。

成長のために必要なのは人材

小林:昨今、フィンテックに対する注目度がどんどん上がっていますが、実のところ、かなり幅広い事業領域をまとめて「フィンテック」と称していますよね。仮想通貨もあれば、決済の話もあれば、会計ソフトもPFMもある。御社として、今後はどういう事業を押さえていくのか、お考えはありますか?

:ユーザーさんとの接点を持たせていただいているので、そうした接点を経由してコンテンツを提供していく形になるとは思います。僕たちはあくまでインターフェイスですし、これだけ新たな事業やサービスが続々と立ち上がっていると、全部を自分たちでやるのは無理なので、APIでつなぐなどして、世の中のすばらしいいろいろなサービスを提供する入り口になろうと思っています。

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