ゆとり世代の転職が絶えない「本当の理由」

「自分らしいキャリア」を社会が煽っている

自立したキャリアを実現するべく、彼らが受けるキャリア教育や就職活動も変化していった。「自分探しを前提とした“就職活動”」と「やりたいことを聞かれ続ける“キャリア教育”」の誕生だ。

就職活動で学生が企業に提出するエントリーシート(ES)は平均で25枚前後、多い人は100枚近くに上る。ESでは「志望動機」と「自己PR」の欄が設けられているため、自分がやりたいことや強みを各社の理念や事業内容に合わせて表現する必要がある。こうした「自己分析」というプロセスは、就職活動ではもはや当たり前となっているが、自己分析が行われだしたのはここ20年くらいのことだ。

それ以前はどのように就職活動がなされていたかというと、学歴、大学歴、あるいは研究室、さらにいえば家族などの縁故を基準とした採用と選考である。企業への就職を目指す学生すべてに、求人企業すべての情報が届くわけではなく、クローズドな状況でやりとりが行われてきた。インターネットの発達などにより今では就職の門戸が開かれた代わりに、自己分析など学生への要求も高度化しているのかもしれない。

就活に合わせキャリア教育にも変化

そして、こうした就職活動の変化と呼応する形で発展してきたのがキャリア教育である。昨今、小学校に至るまでキャリア教育の弱年齢化が著しい。端緒は1998年の中学校学習指導要領の改訂で、職場見学や職場体験が学校行事として導入され始めた。1999年の中央教育審議会の答申には文部省(当時)関連の政策文書に初めて「キャリア教育」という用語が使用された。

そして、ゆとり教育において「総合的な学習の時間」が導入されたのに伴い、キャリア教育はどんどん広がっていった。さらに2011年の文部科学省の中央教育審議会の答申で、キャリア教育を通して身に付けさせるべき能力として「キャリアプランニング力」(自分のキャリアを自ら形成する力)が掲げられた。

20~30代前半のビジネスマンは程度の差こそあれこうしたキャリア教育と就職活動を乗り越えてきた。彼らにとってキャリアとは「やりたいこと」や「自分らしさ」を土台にして描くものなのだ。そして、彼らが社会によって誘導された「自分らしいキャリア」を求めた結果、転職者が増えているのが実情なのだ。

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