米10月雇用26.1万人増、市場予想は下回る 労働人口減もあり失業率は約17年ぶり低水準
[ワシントン 3日 ロイター] - 米労働省が3日発表した10月の雇用統計は、景気動向を敏感に映す非農業部門の就業者数が前月から26万1000人増と、2016年7月以来の大幅な増加となった。市場予想の31万人増は下回った。
失業率は約17年ぶりの低水準
就業者数は増えたものの、賃金の年間の伸びが減速したことや労働参加率が低下したことは労働市場の全貌に暗い影を落とす。
失業率は0.1%ポイント低下の4.1%で、2000年12月以来、約17年ぶりの低水準となったものの、これは労働人口が76万5000人減ったことを反映した。求職者を含む働き手の割合を示す労働参加率は0.4%ポイント低下の62.7%だった。
9月の就業者数は当初発表の3万3000人減から1万8000人増へ上方改定された。9月の雇用の著しい低迷は、8月下旬と9月上旬にテキサス州とフロリダ州を直撃したハリケーン「ハービー」と「イルマ」が原因とみられる。娯楽・観光業などの賃金の安い業界で一時的に職を失う人が出た。
10月は娯楽・観光業の就業者数が10万6000人増えた。ただ、賃金の安い業界で雇用が増えたことから、10月の賃金の伸びは抑制された。1時間当たりの賃金は1セント減。率で表すと前月から横ばいだった。前年同月比では2.4%増と、16年2月以来の小幅な伸びにとどまった。9月は前月から0.5%急増しており、前年同月比は2.9%増だった。
TD証券の首席米国エコノミスト、マイケル・ハンソン氏は「連邦準備理事会(FRB)、とりわけインフレ見通しにより強く懸念を抱く連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーらが、賃金の弱含みを見過ごすことはない」と指摘。「全体的には雇用の伸びが持続し、労働市場のの緩みは危機前の低水準にあり、12月(利上げ)の可能性は残っている」と話した。
エコノミストは、労働市場が最大雇用状態に近づく中、賃金の伸びが加速するとの明るい見通しを保っている。失業率はFRBが示す2017年の中央値見通しを下回った。
働き口がなくて就職を諦めた人や、正規雇用を望みつつもパートとして働く人を含めた、より広範な失業率は7.9%と、06年12月以来の低水準になった。9月は8.3%だった。
過去2カ月間の就業者数は平均して9万人増と、過去3カ月間の平均である16万2000人増を下回っている。労働人口の伸びに対応するためには月に7万5000人から10万人増える必要がある。就業者数の伸びのペースが鈍化していることは、雇用主が適切な人材確保に苦戦していることを反映する。
民間部門は25万2000人増。うち製造業は2万4000人増。建設業は1万1000人増。ハリケーン後の清掃・復興活動が押し上げ要因とみられる。専門・企業向けサービスとヘルスケアも増加した。一方、小売業は8300人減だった。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら