2017年衆院選が日本の転換点といえる理由 みずほ証券エコノミストの上野泰也氏に聞く

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――すでに2020年度プライマリーバランス(基礎的財政収支)黒字化の国際公約は反故にされ、財政再建は絶望的に見えます。

本気で財政再建をする気はないように思える。2017年のIMF(国際通貨基金)の推計で日本、米国、ユーロ圏の財政状況を比較すると、政府債務残高の対GDP比がいちばん低いのが87.4%のユーロ圏。次に108.1%のアメリカと続く。日本は240.3%と借金の額はあまりに大きい。

最近では、日銀が購入した長期国債については無利子永久国債に振り替えようという話を経済学者までが議論するようになった。究極の塩漬け構想だ。リフレ派からすれば、究極のマネー供給になる。

景気がピークをつける2019年は要注意

――今は、ゴールディロックス経済(適温経済)と言われる中で、まさにぬるま湯に浸かっているかのようです。リスクが意識されるポイントとしては、いつ頃になるのでしょうか

景気が次に転換点を迎える2019年だろう。2019年には、インフラ、宿泊、商業関連などのオリンピックに向けたインフラ整備が一巡する。さらに、2019年10月に10%への消費税率引き上げが予定されており、そのとおりに実行される場合は家計の可処分所得が減る。

最も重要なポイントはアメリカの金融政策の行方と為替相場だ。そもそも物価が弱いのに利上げはやるべきではないが、のりしろを作っておきたいということで、進めている。来年も3回の利上げを想定しているが、来年中には止まるだろう。2019年になれば金融政策は中立もしくは利下げを模索する方向に転じていくのではないか。

今は日銀が緩和、FRB(米国連邦準備制度理事会)が引き締め、という環境であるため、180度方向が違い、円安ドル高になりやすい。しかし、FRBの政策が中立もしくは利下げになれば、ドル安円高方向に動く可能性が高い。為替の面からも景気は2019年が山になるだろう。

藤原 宏成 東洋経済 記者

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ふじわら ひろなる / Hironaru Fujiwara

1994年生まれ、静岡県浜松市出身。2017年、早稲田大学商学部卒、東洋経済新報社入社。学生時代は、ゼミで金融、サークルで広告を研究。銀行など金融業界を担当。

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