日本のホームレスは、なぜ「こぎれい」なのか 明治学院大学のトム・ギル教授の研究とは?

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日本と米国のホームレスの違いとは?(写真:izumi/PIXTA)

さらに詳しくデータを見ると、米政府はホームレスを隠しておく新たな場所を見つけたらしいことがわかる。刑務所である。2010年時点で囚人の16%、約32万人が精神疾患を抱えていたのに対し、米国の精神病床数はわずか10万。米『マザー・ジョーンズ』誌は「病院の3倍以上の精神病患者が刑務所にいる」と評した。

米国では路上生活者の約1割が兵役経験者

トラウマを抱えた帰還兵の間でホームレスが増えている、ともギル氏は指摘する。米国では路上生活者の約1割が兵役経験者だ。一方の日本の若者が戦闘地域に送り込まれることはない。

もう一つ大きな違いは、日本の路上生活者の約95%が成人男性であることだ。米国では4人に1人が子どもである。日本では、女性や子どもは生活保護によって住む場所を失わずに済むことが多い、とギル氏は論文に書いている。経済的に自立できない男性は罰せられる一方、女性や子どもはそもそも経済的に自立することを期待されていないというのだ。誰もが自分で自分を養っていかねばならない米国とは対照的である。

明治学院大学のトム・ギル教授(社会人類学)の研究が紹介された動画コンテンツ・パート2
リチャード・カッツ 東洋経済 特約記者(在ニューヨーク)

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Richard Katz

カーネギーカウンシルのシニアフェロー。フォーリン・アフェアーズ、フィナンシャル・タイムズなどにも寄稿する知日派ジャーナリスト。経済学修士(ニューヨーク大学)。著書に『The Contest for Japan's Economic Future: Entrepreneurs vs. Corporate Giants 』(日本語翻訳版発売予定)

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