個人投資家は「人工知能」に勝てるのか 株の急落や暴落は逆にチャンスになることも

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市場に与える悪影響への懸念から足元ではHFTに対して規制の動きも強まってきています。欧州では2018年1月から超高速取引業者の登録制が導入される見込みであり、日本においても、改正金融取引法が成立し、超高速取引業者を登録制(取引戦略の届け出や取引記録の作成・保存など)にすることが決まっています。ただ、HFT自体が規制によりなくなるわけではないので、今後も市場の素早い動きに対し、無防備な投資家は右往左往してしまうことでしょう。

AIに負けないようにするには?

このような短期のボラティリティが高まる動きが今後も予想される中で、個人投資家としてHFTなど機械・AIによってもたらされる市場の動きに一喜一憂することなく、しっかりと対応して投資の成果を上げる方法はあるのでしょうか?

その答えの1つとしてテクニカル分析の活用が挙げられると思います。テクニカル分析を活用することによって、適切な投資タイミングの把握や市場の動きに一喜一憂しないしっかりとしたリスク管理手法の構築がより可能になってくると考えられるためです。

たとえば、市場が短期で急落した場合、テクニカル分析のタイミング効果を活用し、逆張り戦略として移動平均乖離率やボリンジャーバンドなどによる買いサインに加え、割高・割安をはかるRSI(相対力指数)などもしっかりと活用できれば、短期の急落場面は逆に大きな投資チャンスになることも考えられます。

また、短期の市場のボラティリティが高まる中、損失拡大をしっかり抑えるためにも、ロスカットなどのリスク管理がより重要になってきます。一定の売買ルールに基づくテクニカル分析は、市場の動きを受け、一喜一憂するような人間の弱みとしての感情(株価急落による市場の動きに対応できず塩漬けにしてしまうなど)の排除・抑制効果をもたらすという点でAI時代の投資スタイルとして利にかなっていると思われます。

投資家はAI時代だからこそ再度、テクニカル分析に注目し、投資の成果につなげていくことがより大事になってくることでしょう。なお、私が所属するNPO法人・日本テクニカルアナリスト協会主催で、同志社大学の東京キャンパスで3回にわたってセミナーが開催されます。私も11月4日(土)に「AIの最新トレンドとテクニカル分析」について一般の投資家や文系の方々にもわかりやすく解説させていただく予定です。

少しでもテクニカルアナリストを含む投資家の皆様にとってAIの最新トレンドを効果的に活用するためのヒントにつながるようなお話ができたらと思っています。ご興味のある方はこちらからお申し込みいただいたうえでご参加ください。

中村 貴司 東海東京調査センター 主任調査役 シニアストラテジスト

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なかむら たかし / Takashi Nakamura

日系、外資系証券、損保・証券系運用会社でアナリスト、ファンドマネージャー等を経て現職。ファンダメンタルズ分析にテクニカル分析や行動ファイナンス理論を組み合わせた投資戦略、市場分析を重視。国際公認投資アナリスト(CIIA)、CFP、国際検定テクニカルアナリスト(MFTA)。日経CNBC等での出演のほか。日経新聞、QUICKなどでもコメント・執筆。早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター「ファンドマネジメント講座」などで講師を務める。

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