「将来に興味がない」高校生に語るべき"言葉" 夢ばかり語っても意味がない
一方、将来の具体的なリスクを考えることもキャリア教育には必要です。国立教育政策研究所は「自分の将来の生き方や進路についてホームルームなどの時間で指導してほしかったこと」というアンケートを実施しており、上位3つは以下のとおりです。
1位が先に述べた「未来設計型キャリア教育」です。2位は面接指導やマナー研修などが含まれると思います。どちらも、社会の中で働いていくことを前提とした内容です。
一方で、3位の「就職後の離職・失業など、将来起こり得る人生上の諸リスクへの対応」は「もし失業したら」など、明るい未来とは限らないことを前提に行われる内容であり、上位2つのキャリア教育とは趣が異なります。
筆者が全国各地の高校で実施している授業は、まさにそうしたリスクを考えてもらう「就職後の離職・失業など、将来起こり得る人生上の諸リスクへの対応」に関する授業です。これを「予防型キャリア教育」と呼んでいます。
リスク要素の多い生徒たちに必要な予防型キャリア教育
定時制高校などの中には、入学してから卒業までの間に半数近くが退学や留年をする学校もあります。また、卒業後の進路において半数近くが非正規労働者やフリーター、無職などの学校も存在します。自然と若年無業や貧困層の予備軍を多く抱えているのがこういった学校です。
筆者は認定NPO法人育て上げネットが実施する金銭基礎教育プログラム「MoneyConnection®」で高校生向けの授業を担当しています。これは、新生銀行グループと育て上げネットが共同開発した「予防型」のプログラムです。「おカネと仕事」「将来の仕事と生活」について、カードなどを使って人生をシミュレーションしながら、現実を1つひとつ知ってもらいます。
たとえば、あるときの授業の様子をご紹介します。
「フリーターかよ、マジ終わった」「よっしゃ!正社員」
「働き方カード」と書かれたカードをひいた生徒たちが、自分の手元のカードを見て思い思いの言葉を口にします。中には無言の生徒や、興味がなさそうな生徒もちらほら。
次は「月収カード」。
「は!? 15万なんかじゃやってけないし。」「うぉー! 100万だ!!」
それまでは肘をつき、つまらなそうにしていた生徒が、100万円のカードをひいた瞬間、二カッと笑顔になって周囲の友達に見せびらかすこともあります。
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