各駅停車「新幹線こだま」特急料金は妥当か 通過待ちばかり、所要時間長く本数も少ない
のぞみの運行当初は始発と終発の1日2往復だけだったが、その後、ダイヤ改正のたびに少しずつ増発された。2003年の品川駅開業以降はひかりに代わる主要列車となり大幅に増発され、のぞみの運行の合間を縫ってひかりとこだまが1時間にわずかの本数だけ走る現行の形態になっている。
競合区間での新幹線vs航空機の競争は激化しており、のぞみの大増発(自由席も同時に設けられた)はこうした競争に勝つためのJR東海の方針だ。その中で、航空機と競合しない中距離や中間都市の利用者の利便性はないがしろにされがちだ。
「のぞみ」が二十数分早く着く価値
1992年にのぞみが登場した際に、その特急料金が問題となった。それまでひかりとこだまの特急料金は同額だった(新幹線開業当初を除く)が、東京―新大阪間で約20分速いのぞみにJR東海は新たな特急料金を設ける方針を取った。その結果、のぞみには、ひかり、こだまより東京―新大阪間で950円割高になる特別料金が設けられた。既存の体系とは別建ての料金設定としてはJR第1号となった。
すなわち、速さに応じて異なった料金を取るという方針を鮮明にしたわけだが、その金額をめぐってはさまざまな議論がなされたようだ。1992年3月15日付読売新聞によれば、JR東海は、新幹線利用者の6割以上を占めるビジネスマンの時間当たり労働生産性を根拠に算出した20分の価値を算出、「短縮された二十数分は2000円近い価値のあるもの」と判断し、最終的に、コスト計算や競合する飛行機に対する競争力を持たせるため、1100円程度を希望したという。また、料金を認可する運輸省のベースになったのは、1分当たりの労働価値34円(1988年度)という労働省の資料で、のぞみ開業の1992年度までのベア分を含んで金額をはじき出し、東海の設備投資コストも勘案して950円にしたという。
その後、2003年の品川駅開業時ののぞみ主体の運行へのダイヤ改正時にのぞみの特急指定席料金が平均約1割値下げされ、東京―新大阪間は670円の値下げとなった。現在、同区間におけるひかり・こだまとのぞみの指定席特急料金の差は310円だ(ただし、このとき初めてのぞみに自由席が設けられ、自由席特急料金については同額となった)。
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