そして今回のランキングは、大卒・大学院卒以上の25~29歳(男女)の一般労働者(フルタイムで働く労働者で正社員か非正社員かは問わない)の値を使った。就活生が3~4年先の待遇を見るという理由もあるが、年代別の労働時間でみると、25~29歳の層が労働時間が最も長くなっている。20代後半をピークに労働時間は減っていく一方、賃金(年収)は上昇していく傾向にある。若いうちに多く働き、年々待遇がよくなっていく、日本の年功序列型賃金が垣間見える。
結果、1位は総合工事業となった。ゼネコンなどの工事会社が該当し、年間で換算すると2448時間でかなり長い。残業時間は月38時間で、これを従業員1000人以上の事業所に限ると、所定内実労働時間は月164時間、残業時間は月48時間に達する。年間だと2544時間となり、平均値よりも500時間近く長い。
これはやはり2020年の東京五輪に向けた建設ラッシュによる影響が大きい。5年前の同統計での残業時間は、月26時間(年間労働時間は2376時間)となっており、ここ数年で数字が高くなっていることがわかる。今年4月には、新国立競技場建設の元請けゼネコンで、現場監督を任されていた23歳の男性が過労を苦に自殺するという痛ましい事件があった。完成期限に向けてスケジュール調整が難しいかもしれないが、建設現場の労働時間をはじめとし労働環境の改善は急務といえるだろう。
時給では商社が高く、下位と1000円差
2位は道路貨物運送業。トラックドライバーや配送業に携わる人々である。ネット通販の利用が拡大する中、配達ドライバーの負荷は高まっており、そうした状況がこのランキングにも表れた形となっている。
3位は道路旅客運送業だった。こちらはバスやタクシーの運転手や、運行会社の社員が対象だ。
4位は自動車整備業である。所定内実労働時間は月174時間で、これは9位の木材・木製品製造業や、46位のなめし革・同製品・毛皮製造業と並び、最長となっている。休日が週1日、もしくは土曜日が午前中は営業時間、という会社も多いように思われる。5位は輸送用機械器具製造業、6位は金属製品製造業と、製造業が続く。
一方、労働時間が短い業種は、下から、92位航空運輸業(年間労働時間1872時間)、91位通信業(同1968時間)、88位ガス業、鉄道業、水道業(同1992時間)などだ。公共インフラ系のサービスを展開している企業が多い。インターネット附随サービス業も、86位(2004時間)と、比較的労働時間が短い。
ちなみに時給換算した収入では、商社などの各種商品卸売業が2853円でトップ。金融商品取引業、商品先物取引業(2706円)、ガス業(2577円)、鉱業、採石業、砂利採取業(2517円)などが高い。反対に低いのは、宿泊業(1413円)、木材・木製品製造業(1421円)、郵便業(1439円)となっている。上位と下位で、時給にして、1000円以上の差が開いていることがわかった。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら