ジャカルタの鉄道、線路脇にある植物の正体 沿線のあちこちに植えられた理由は?

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KCIでは当初、車両基地内にある崖にサツマイモの苗を植えていたところが、雨季になると特に伸びが早いことに気がついた同社スタッフが、沿線にも植えようと思いついたのだという。

KCIの電車が走る線路沿いにはもともと、敷地ギリギリまで低所得層の掘っ立て小屋が立っていたエリアがあった。さらに線路端にゴミが散らかし放題だったところもあり、こうした問題の解決が急がれていた。

生い茂った葉の奧にサツマイモが見える(筆者撮影)

今年春までジャカルタ首都圏電鉄(KCJ)ゼネラルマネジャーの職にあった前田健吾氏によると、「深夜にメンテナンス作業をしていると、線路脇で母親が座り込んで子供を寝かしつけていた」ほか、「線路が子供たちの遊び場になっていて、レールの上に置き石を見かけることもあった」という。

さしあたって、軌道敷の境界から3m以内にあった瓦礫やバラックを撤去。そのうえで、再びバラックが建てられるのを防ぐため積極的に沿線の緑化を進めている。サツマイモが選ばれた理由として、「花が咲く植物を植えると、花のない時期になると見苦しい。イモなら繁殖が早く、緑がいつでも維持できるから」とKCI関係者は説明している。

線路際に食用作物が植えられる例はほかにあるか?

線路沿いをイモ畑にした結果、ゴミが捨て放題だった場所の環境が著しく改善したほか、線路端のイモが深めに植えてあることで、踏切以外の場所での線路横断に挑む沿線住民の数がずいぶんと減ったようだ。それを受け、運転士のストレスが軽減されることはいうまでもない。

イモのツルが線路に絡まないよう、保線に当たる職員が丁寧に刈り込みを行っている姿もよく目にする。ともあれ、イモ畑の理由は「撮り鉄さんがうろうろするのを避けるため」とジャカルタの鉄道当局が考えたわけではなさそうだ。ファンたちが線路ギリギリまで近寄りにくくなった結果、より安全に撮影が楽しめるとなれば、イモ栽培のメリットは大きい。

線路の緑化は、トラム(路面電車)の軌道敷を芝生で覆う事例がよく行われている。敷石やアスファルトを敷くよりも表面温度が下がるだけでなく、植物の緑の方が見た目に優しい、といった事情が背景にある。もっとも都市によっては、緑化部分の手入れが悪く、草が剝げて土がむき出しとなり、かえって見苦しいところもあるのが残念だ。

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