「有給取得を嫌がる上司」にどう対抗すべきか 正面対決するより、もっと戦略的に

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でも、たとえば、事前に「親が還暦なので旅行に連れていってあげたいのですが、いつくらいなら3日くらい休めそうでしょうか」と相談されると、「このあたりならいいと思うよ」と親身になって答えてしまう。要は、極端な話、直前になって「権利ですから、いついつに、3日休ませていただきます。理由によって判断が変わるのは違法です」と言われたら、管理職だって人間ですから、気持ちよく休ませてあげられない気分にもなる、ということ。

当面の有休申請は、なるだけ早めから、報告ではなく相談モードで。差し障りのない範囲で理由も伝えておくと「相談され感」は増すでしょう。かつ、当面のことと自分だけのことにせず、なるだけ職場全体を巻き込んだアクションにしていくことで、それ以降も休みが取りやすくなるはず。

ちゃんと休んだらちゃんと働く

そして、忘れてはならないのが、ちゃんと休んだらちゃんと働くこと、休んでいる間の周囲に配慮すること、でしょうか。くれぐれも、誰かのことを引き合いに出して「私だけ休めない」「あの人だけずるい」といった小さな話にして、あなた自身の評判を下げてしまわないように。

ここまで、「管理職にも危機感があるはず」という前提で話をしてしまっていますが、いろいろな会社の話を聞いていると、まだモーレツモードのままで、「若いうちは休みなしで働くものだ」といった発想から抜け出せない管理職も生息しているようです。

もし、会社全体は有休取得率にも注目し始めているのに、有休申請を却下し続けたり、申請すると叱責したりする上司なのだとしたら、その上司は人事やコンプラ部門などから目をつけられている可能性があります。ハラスメントのリスク分子ですから。内部告発とまでいかなくても、上司の上司や、人事部門などにアドバイスを求めてもいいと思います。管理職自身に「ハラスメント加害者」になるリスクを実感させれば、さすがに態度を変えるはずです。

さらに、会社全体の管理職、経営陣がこのタイプの場合は、簡単には変化は望めません。全員キレイにいなくなるタイミングを数えて、「後〇年」と我慢するか、いっそ転職してしまうか。まぁ、どうせ「今時の……」と思われているでしょうから、「いついつ、休みまーす」と明るく、規定どおりにたっぷり休んでしまって、「今時」をわからせてやるのも一手かも。

あなたのご相談は、多くの働く人がもやもや抱えている気持ちかもしれません。でも、何も行動しない人も多いのではないでしょうか。「どうせ変わらない」と思わずに、周囲を巻き込んでアクションしてみるといいと思いますよ。みんなも管理職でさえ、同じようにもやもやしたまま動けていないのだとすれば、変化のキッカケになるかもしれません。ぜひ、オフも充実させて、ますますオンも頑張ってみてください!

堂薗 稚子 ACT3代表取締役

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どうぞの わかこ / Wakako Dozono

1969年生まれ。1992年上智大学文学部卒業後、リクルート入社。営業として多くの企業を担当し、数々の営業表彰を受ける。管理職として、多様な雇用形態の組織の立ち上げやマネジメント、『リクルートブック』『就職ジャーナル』副編集長などを経験。2004年第1子出産。2007年当時組織で最年少、女性唯一のカンパニーオフィサーに任用され、事業責任者、「リクナビ派遣」編集長を務める。2010年に第2子出産後はダイバーシティ推進マネジャーとして、社内外女性のメンターを務めつつ、ワーキングマザーで構成された営業組織の立ち上げ、マネジメントを担当し、彼女たちの活躍を現場で強く推進した。経営とともに真の女性活躍を推進したいという思いを強くし、2013年退職。株式会社ACT3設立、代表取締役。女性活躍をテーマに、講演や執筆、企業向けにコンサルティングなどを行っている。2013年2月、リクルート在籍時に東洋経済オンライン「ワーキングマザーサバイバル」連載に登場。FBのいいね!数が6000を超えるなど、話題となった。

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