トヨタ流「成果が出る」最強の習慣トップ3 うまくいかないときは仕事を止める!

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標準を作成することは、問題を見えやすくするだけでなく、仕事をやりやすくし、確実に成功させるためにも必要なことなのです。

習慣③仕事を3つに分ける

『仕事の生産性が上がる トヨタの習慣』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

ひと口に「作業」といっても、付加価値を生む作業と、付加価値を生まない作業が存在します。そこでトヨタでは作業を、①正味作業、②付随作業、③ムダの3つに分けて考える習慣があります。

①正味作業とは、まさに付加価値を高める作業のこと。生産現場でいえば、材料や製品を加工したり、部品を組み立てたりといった作業が該当します。オフィスワークでいえば、企画立案時に、パソコンに向かって企画書を書く作業は、付加価値を生んでいるので正味作業といえます。

②付随作業は、付加価値を直接生むことはないけれど、今の作業条件のもとでは必要不可欠な作業のこと。生産ラインでいえば、部品の梱包を解いたり、部品を取り出したりといった行為が、付随作業に当たります。オフィスの場合、企画書を作成するために情報収集をするのは付随作業といえるでしょう。現在は必要不可欠な作業であっても、うまく工夫をすれば、ムダとして取り除けるのも、付随作業の特徴です。

③ムダは、その名のとおり、必要のないものです。トヨタにおけるムダとは、「付加価値を高めない現象や結果」のこと。生産現場では、「付加価値を生まず、原価のみを高める生産の要素」をムダとしています。たとえば、部品が届くのを待っている手待ちの時間や、何度も部品や工具を取りに行くこともムダです。

トヨタでは、作業改善をするときに、まずは作業の1つひとつを、①正味作業、②付随作業、③ムダの3つに分解することが習慣になっています。

「この作業は何のためにしているのか」と自問自答をしたうえで、自分の仕事を3つに分類してみます。そして、浮かび上がってきたムダを徹底的に省いていく。そうすることで、仕事のスピードと質がアップするだけではなく、ムダのない付加価値の高い仕事に生まれ変わります。

たとえば、企画書をつくるときも、内容の確認をするために上司を探しまわったり、ほとんど読まれない添付資料をつくったりといったムダを省くことで、仕事の価値を高めることができます。ぜひみなさんも自分の仕事を3つに分けてみてください。

岡内 彩 OJTソリューションズ

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おかうち あや / Aya Okauchi

東京大学教育学部卒業。トレーナーや顧客企業への取材を通じて、人材育成のコツや強い現場づくりに必要な要素などの形式知化を進める。

OJTソリューションズ: 2002年4月、トヨタ自動車とリクルートグループによって設立されたコンサルティング会社。トヨタ在籍40年以上のベテラン技術者が「トレーナー」となり、トヨタ時代の豊富な現場経験を活かしたOJT(On the Job Training)により、現場のコア人材を育て、変化に強い現場づくり、儲かる会社づくりを支援する。 本社は愛知県名古屋市。60人以上の元トヨタの「トレーナー」が所属し、製造業界・食品業界・医薬品業界・金融業界・自治体など、さまざまな業種の顧客企業にサービスを提供している。 主な著書に20万部超のベストセラー『トヨタの片づけ』をはじめ、『トヨタ仕事の基本大全』『トヨタの問題解決』『トヨタの育て方』 『[図解]トヨタの片づけ』『トヨタの段取り』『トヨタの失敗学』、文庫版の『トヨタの口ぐせ』『トヨタの上司』(すべてKADOKAWA)が あり、シリーズ累計77万部を超える。

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