トヨタ流「成果が出る」最強の習慣トップ3 うまくいかないときは仕事を止める!

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トヨタで40年以上働いてきたトレーナーの小倉良也は、「会社の経営者や管理監督者から、よく『どこが問題だかわからない。どうすれば問題が見えるのか?』と質問されますが、問題点が見えない最大の原因は、標準がないことです」と断言します。

「ある指導先の工場長も『どこに問題があるかわからない』と嘆いていた1人。彼の案内で作業する様子を見学していたら、たまたま若手の作業員がミスをして、生産ラインが一時止まってしまいました。それを見た工場長は、バツが悪そうに『彼は腕がまだまだで……。ちょっと筋が悪いんですよ』と言いました。これを聞いた私は、すかさずこう指摘しました。

工場長、彼が悪いのではありません。標準とされている作業手順がまずいのです。まさにそこが改善すべき問題点ですよ!』。

若手社員や腕の悪い人であっても、誰もができるような標準が決まっていないから失敗してしまう。だから、まずは標準作業を決めて周知する必要がある、とその場で説明しました」

標準を決めることで誰でも問題を発見することができる

標準があれば、問題のありかが見えやすくなります。たとえば、先ほどの例で言うと作業者がカチッと音がするまでボルトを締めていない場合。「カチッと音がするまでボルトを締めること」が標準であれば、それは標準から外れており、結果的に不良の原因として見つけやすいですが、標準が決められていなければ、問題に気づきにくいでしょう。

トヨタでは、作業の標準があるからこそ、誰でも問題を発見することができ、未然に不良やトラブルを防ぐことができるのです。

トヨタでは「標準」を作成する際、①手順(仕事をするための順序)、②急所(仕事の成否を左右するポイント)、③急所の理由(なぜそうするのかを示す根拠や背景)の3つを記載することが習慣化されています。

「急所」とは、言い換えれば、仕事や作業をやりすくしたり確実に成功したりするための勘やコツということができ、生産の現場では「カンコツ」とも呼ばれています。ポイントは、作業の肝となる手順ごとに急所と、その急所を押さえる理由が記載されていることです。

どんな仕事にも、ある程度の作業手順はあるはずです。しかし、その手順を整理して、急所を視(み)える化している職場は多くありません。特に個人の裁量に任されがちなオフィスワークなどは、人によって作業手順が異なり、急所がブラックボックス化している可能性があります。

どんな仕事や作業にも、その成否を左右するような「急所」が存在するはずです。たとえば、企画書を作成する仕事であれば、「根拠となるデータや数値を入れる」ことがカンコツかもしれませんし、不動産販売の仕事であれば、「家族構成を把握し、そのニーズに合った提案をする」ことが急所かもしれません。

次ページ3つ目の習慣とは?
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