48歳バンドマンの「しぶとすぎる」生き残り術 結成28年、酸いも甘いも噛み分け進んできた

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マエカワさんはマネジャーやライブ制作、会社経営などの仕事をほかの3人に回さない。傍目で見るとため込んでいるようにも見えるが、このスタイルも自分にとっての最適解だとわかってやっている。

「人に言われてやるよりも自分で決めてやったほうが面白いという性格なんですよね。おカネの管理は自分がいちばん向いているけど、ほかの発想とかは3人のほうがいいものを持っているかもしれない。けれど、そうしてしまったら俺のよさが出ないなと思っているところがあったりします。3人は誰が言ったことでもうまく自分を出せるんですよ」

学校の後や休日に遊びを決めていた、子どもの頃から抱いてきた感覚だ。一方で、バンドのリーダーとしては細かなアレンジを指示するといったことはなく、各人の領分には口を出さない。そこはすみ分けている。

「本分はフラワーカンパニーズのメンバーで、ベーシストです。おカネの計算とかマネジメントとか好きですけど、そちらがいちばんになったら駄目というのはずっと思ってやってますね」

機材車と一緒に(写真提供:フラワーカンパニーズ)

今、フラカンが抱く目標とは?

ではフラワーカンパニーズのメンバーとして、今どんな目標を抱いているのか。

「60歳になっても70歳になっても全国を回ってライブするというのがいちばんですね。死ぬまでやれたら最高です。ライブ中に死ぬのは嫌だけど(笑)。

それをやるには何をすべきか。いい曲を作ったり、もっとうまく演奏できるようになったり。あと、演奏する場であるライブハウスが生き残っていくためにもいろいろやらないと。今、地方では平日のライブハウスのブッキング状況は割と空き日が多く悲惨ですから。可能な場所ではなるべく平日にライブを組みたいと思っています」

インディーズになってからリリースした最新シングルは、あえてネット配信や通販を通常行わず、ライブハウス限定発売の形をとっている。それも長く生き残るための一手といえるだろう。

「年を取るとやれることが減っていくと思われるし、そう思ってもいましたけど、時代は変わってきていますからね。自分たちは1回も売れていない。だけど続けていたら、今までと違うことが起きる可能性があるなと。そういうことを期待してやっているところはあります」

内部と外部の理解が深く、とても盤石な生き方をしているように思えた。しかし、48歳になって感じる危機もあるとか。

「やっぱり健康問題はでかいですよね。特に今年に入ってからヤバイ(笑)。鈴木ののどに関してはずっと養生しながらやってるんですけど、最近はライブの日程を組むときもハイエースでの1回の移動距離をなるべく短くするようにと意識しています」

9月、自分たちの年齢にかけたフルアルバム『ROLL ON 48』をリリースした。いろいろあるけれど、歩みはまだまだ止まらない。

※ 参考文献『消えぞこない』(フラワーカンパニーズ著/リットーミュージック)。武道館ライブの直前に出版されたバンドヒストリー本。
古田 雄介 フリーランスライター

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ふるた ゆうすけ / Yusuke Furuta

1977年生まれ。名古屋工業大学卒業後、建設会社と葬儀会社を経て2002年から雑誌記者に転職。2010年からデジタル遺品や故人のサイトの追跡している。著書に『第2版 デジタル遺品の探しかた・しまいかた、残しかた+隠しかた』(伊勢田篤史との共著/日本加除出版)、『ネットで故人の声を聴け』(光文社新書)、『故人サイト』(社会評論社)など。

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