老舗モロゾフ、32年ぶり過去最高益の舞台裏 相次ぐ大震災に打ち勝った「生産性改革活動」

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今年で国内工場の生産性改善は一巡した。この間、毎年10~20%の原価低減が進み、原料価格の上昇も想定の範囲に収まった。

また、これまで外注で作っていた「ファヤージュ」を内製に切り替え、内容を改定したところ大ヒットし、「ファヤージュショコラ」といった派生商品まで生み出すなど、さまざまな要因が重なり、業績は急改善している。

中計は前倒しで達成する見込みだが・・・

手土産の定番の1つ、木の葉型クッキーの「ファヤージュ」(撮影:編集部)

ただ、モロゾフ側はもろ手を挙げて喜んでいるわけではない。

「生産性向上と原価低減に寄与してくれた社員への還元は必要だし、(採用を手控えてきたために)減ってきた社員の補充もしなければならない。また、販売や喫茶事業は人手不足の状態で来2019年1月期以降は人件費の増加が見込まれる。老朽化対応や成長のための投資も必要になってくる」(山岡専務)

現在、モロゾフでは製造現場改革の次のステップとして、間接部門の生産性向上に取り組んでいる。ベテランからパート社員まで業務をポイント制にし、トータルポイントを指標として、コストを削減する。つまり、ポイントの高いベテランの業務を若手に委譲し、人材育成と業務効率化を進めようということだ。

今期からスタートしている中期経営計画の第1ステップ(2020年1月期)の目標は、売上高290億円、営業利益6.2%(約18億円)。数字の上では今期中にクリアしてしまうことになる。

一方で、百貨店閉鎖や人口減少といった構造要因に加え、洋菓子の原材料であるナッツ類などは天候に左右されやすく、新興国の経済成長で調達価格が上昇するといった点も懸念される。

神戸スイーツの先駆者は改革が成果を上げてもなお、強い危機感の中にいる。

山本 雅則 東洋経済 記者
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