小池知事が「公明党のご機嫌取り」に走る事情 首班指名は「山口那津男さんがいい」

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細野氏と若狭氏が新党について話し合っていた時に、このような報道があった。「小池新党は東京都内に25ある選挙区全てに候補を擁立する」。確かに25ある選挙区のうち、22の選挙区は“敵”である自民党が占めている。残り3つの区のうち、7区は民進党の長妻昭氏、15区は同党の柿沢未途氏だが、12区には公明党前代表の太田昭宏氏がいるのだ。

よって都下の全選挙区に候補を擁立するとなれば、太田氏の12区にも独自候補を立てるということになる。こんなことを公明党が看過できるはずがない。こうした選挙の細部への配慮が足りない小池新党構想について、「素人同志の寄り合い」と一部で揶揄されるのは、こうしたところの配慮のなさが原因である。

もっとも、この「都内全選挙区擁立説」は細野氏によって否定されている。が、それでも相当の不信感が公明党側に生じていたに違いない。それでもこの時に反応しなかったのは、小池知事の動向に注視していたからだろう。

「(都民ファーストの会との連携解消は)まだ決定していない」。小池知事が「希望の党」代表に就任することを発表した25日夕方、都議会公明党の東村幹事長は筆者の取材に応えてこう述べた。慎重な姿勢を示しているが、事態がもはや引き返せないところまで来ていることがうかがえる。都議会公明党だけの問題ではなくなっているからだ。

「今週中に山口(那津男)代表や井上(義久)幹事長ら党本部と連携して、具体的に対応する予定だ」(東村氏)

実際のところ小池知事の国政関与について、山口代表はかなり不快感を抱いているようである。25日には記者団のぶら下がりに応じ、「都知事としての職務に専念していただきたい」「都知事としての責任をまっとうしていただきたい、ここを厳しく見ていきたい」とはっきりと述べている。

首班指名について「山口さんがいいと思う」

これに危機感を感じたのだろう。25日夜、小池知事はフジテレビの番組に出演し、衆院選挙後の首班指名について「山口那津男(公明党代表)さんがいいと思う」と述べてみせたのだ。これは公明党の離反を止めるために秋波を送ったと解して間違いない。

公明党が連携を解消すれば、次期衆院選を控えてその影響は大きくなる。「小池新党躍進」と分析している選挙調査は、東京都内の公明票が「小池新党」に流れるという前提で行っているからだ。実際にそれを当てにして、新党から出馬を希望した輩も少なくないはずだ。

しかし選挙協力というものはさほど甘くない。「別の政党の候補を支持するかしないかは、その候補が比例区で公明党にどれだけ票が流し込む力を持っているかにかかっている」と公明党関係者は解説する。

ならば選挙区で固定票を持たない落下傘候補などは、およそ眼中にないだろう。ここ数日の公明党の動きに注目が集まる。

安積 明子 ジャーナリスト

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あづみ あきこ / Akiko Azumi

兵庫県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。1994年国会議員政策担当秘書資格試験合格。参院議員の政策担当秘書として勤務の後、各媒体でコラムを執筆し、テレビ・ラジオで政治についても解説。取材の対象は自公から共産党まで幅広く、フリーランスにも開放されている金曜日午後の官房長官会見には必ず参加する。2016年に『野党共闘(泣)。』、2017年12月には『"小池"にはまって、さあ大変!「希望の党」の凋落と突然の代表辞任』(以上ワニブックスPLUS新書)を上梓。

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