新型「フィット」vs.「アクア」を徹底比較 ホンダがHVシステム刷新で、燃費“世界一”を奪取
フルモデルチェンジ(全面改良)で3代目に生まれ変わった新型フィットは、内外装はもちろん、エンジン、トランスミッション、プラットフォーム(車台)など、すべてを刷新。中でも、「魔法のようなシステム」と伊東社長が胸を張るのが、36.4km/Lを達成したHV仕様だ。アクアを抜くべく、「世界一を目指した」(伊東社長)ホンダの意地を示す進化を遂げた。
旧型フィットのHVシステムは、エンジンとモーターが直結している構造になっていたため、発進も加速も高速巡航も、常に両方が連動して駆動する状態になっていた。トヨタのHVシステムは2モーター方式で、エンジンを停止しながらもモーターの力で発進できるという特徴が、燃費性能の良さにつながっていた。
エンジンとモーターを必要に応じて切り離す
ホンダは新型フィットHVで従来システムの弱点を解消。エンジンとモーターを必要に応じて切り離す機構を入れ、発進時はモーターのみ、加速や減速時は両方、高速巡航時はエンジンのみ、といった使い分けができるようになり、大幅に燃費を上げることに成功した。
そもそも初代フィットは、それまで車体後部(リア)に位置するのが当たり前だったガソリンタンクを、車体中央(センター)に配置するセンタータンクレイアウトを採用。小さな車体で最大限の居住空間を実現するなどの商品性や、優れたデザインなどが高い評価を受けている。日本だけでなく120カ国を超える全世界で販売し、これまでの累計販売台数は487万台にも上る。
「FIT3」を銘打った3代目は、世界最高水準の燃費性能をはじめ、「クルマづくりの常識を覆した」(伊東社長)初代と同様に、自動車業界に大きなインパクトを与える車となりそうだ。日本を皮切りに全世界へと展開し、「2016年には年間150万台の世界販売を目指す」と伊東社長の鼻息は荒い。