トヨタが「スポーツカーで新ブランド」のワケ “モリゾウ"社長は発表会でドリフトも披露

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トヨタはハイブリッド車(HV)などの環境性能や品質で高い評価を得てきたが、走行性能となると独のダイムラーやBMW、アウディといった欧州系と比べブランドの訴求力が弱い。そこで最近は新たな顧客層の獲得を狙い、モータースポーツ分野を強化中だ。

2017年には世界屈指のレースである世界ラリー選手権(WRC)に18年ぶりに復帰。世界耐久選手権(WEC)でも最高峰のクラスをHVで戦っている。こうした活動が効いてスポーツカーの販売では成果が出始めていて、GRシリーズは欧州を皮切りに海外でも展開していく。

モータースポーツでトヨタの壁を壊す

ガズーレーシングカンパニーの友山茂樹プレジデントはGRシリーズを世界展開する考えを示した(写真:梅谷秀司)

組織も改正した。モータースポーツは単なる一部門だったが、今年4月から社内カンパニー「ガズーレーシングカンパニー」に昇格。企画や開発、設計などを統合し、レース活動での知見を生かした市販車作りを目指す。

友山プレジデントは「レースが人を鍛え、車を鍛える。市販車にどれだけ落とし込めるか挑戦する」と抱負を述べたうえで、「トヨタの壁を壊すのが使命。ガズーレーシングは変革と挑戦の旗印であり、新しい時代に向けたトヨタの新たな挑戦がここから始まる」と鼻息は荒い。モータースポーツ活動は莫大な資金がかかるため、業績次第で撤退する会社も多いが、トヨタは永続的な活動として展開していく方針だ。

お披露目された「86“GR”」。「ファン・トゥー・ドライブ」で新たなファンを開拓できるか。新ブランド「GR」の展開に注目が集まる(撮影:梅谷秀司)

もっとも足元では100年に一度の転換期を迎えている自動車業界。電気自動車や自動運転、コネクテッドカーなどの発表が相次ぎ、ITなどの異業種からも参入が絶えない。走行性能から移動するための総合的なモビリティサービスに競争の軸足が移りつつある。そういった意味では”逆張り”ともいえるトヨタの新たなモータースポーツ戦略はどこまで支持を広げられるか。

冨岡 耕 東洋経済 記者

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とみおか こう / Ko Tomioka

重電・電機業界担当。早稲田大学理工学部卒。全国紙の新聞記者を経て東洋経済新報社入社。『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部などにも所属し、現在は編集局報道部。直近はトヨタを中心に自動車業界を担当していた。

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