13年の議論で生まれた「驚異の図書館」の裏側 デンマークの人々の「共創」の技法

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たとえばSNS、テクノロジー、文学の3つの専門分野の大学生を招いて、若者が図書館に求めることを議論してもらう。子どもたちには「未来の理想の図書館」を工作してもらい、そのアイデアを収集。実際の建設を請け負うためのコンペに参加する建設会社に、少なくともひとつは子どもたちのアイデアを建築に生かすことを義務づけた。

13年間の対話を通じて練り上げたアイデア

ロボット仕分けシステム(写真:未来教育会議)

こうした対話の中からさまざまなアイデアが生まれ、「スマートシティ」オーフス市の象徴となる施設とするべく、実際に機能として備わっている。

たとえば、オーフス自動貸し出し機・返却機、スマートフォンに合わせたオンライン予約システム、周辺地域にある18の図書館の蔵書のデータベース化などを実施。さらに、返却された書籍や他の図書館と送り合う書籍の仕分けに「ロボット仕分けシステム」を採用。また、100台収容の「自動駐車システム」を導入した駐車場を付設するなど、最新技術を生かしたスマート化・機械化が進められている。

作業やディスカッションができるスペース(写真:未来教育会議)

また、「マッシュアップライブラリー」というアイデアが掲げられている。これは、本の貸し出し以外にも、パスポート申請などの行政サービスが受けられたり、ラボスペースでものづくりができたりするというものだ。

シアターやセミナールーム、ワークショップスペースでは、多種多様なイベントに参加したり、企画・開催したりもできる。

図書館がNPOなど外部組織とコラボレーションしながら提供する「宿題支援」「健康相談」「ビジネスサポート」などのサービスもある。また、屋上は洪水の際の避難場所として設計されるなど、地域住民・地域コミュニティが、さまざまな形でかかわる場としてデザインされている。

さらに、「子どもたちのため、家族のための図書館」というアイデアからは、絵本と玩具が取りそろえられたキッズスペース、親子連れ同士でおしゃべりを楽しむことができ、赤ちゃんが泣き出しても安心な防音室、起業家プログラムなど子ども向けの体験プログラムが充実している。市内の病院で赤ちゃんが生まれたときには館内に鐘が鳴り響くというチャーミングな仕掛けも生まれた。

キッズスペースの一角(写真:未来教育会議)
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