マツダ「CX-8」が脱ミニバンで目指す新境地 プレミアムブランドへの脱皮に向け真剣勝負
ミニバン開発で先行したマツダだが、実はCX-8の発売に伴い、「MPV」「ビアンテ」「プレマシー」のミニバン3車種の販売から順次撤退する。他社の競合であるトヨタ「ヴォクシー」、日産「セレナ」、ホンダ「フリード」といったミニバンと闘えなくなったことが原因だ。
一方、足元のSUV市場は活況を呈している。そこで、大人数が乗れる車は欲しいが、ミニバンが持つ「ファミリー感」や「マイルドヤンキー」的なデザインに抵抗感を抱いている新たな客層を、SUV投入で取り込みたい考えだ。
マツダが強みとする、一括企画に基づいた、部品や車台の共通化を特長とする生産体制「コモンアーキテクチャ」を活用。CX-8は米国専用の3列シートSUV「CX-9」をベースに、車の前方はCX-5、後方はCX-9のプラットフォームを組み合わせて開発した。日本向けに全長を5メートル未満に抑えている。
ミニバン撤退で、より「プレミアム」に
CX-8はビアンテやプレマシーに比べ、最低価格ベースで85~120万円ほど値上がりしている。さらにミニバン特有のスライドドアはなく、割安感や使い勝手を求めるユーザーの流出が想定される。ただ、「マツダが打ち出したいプレミアムなブランドイメージを確立することで、よりブランドに共感するユーザーを取り込める」と東海東京調査センターの杉浦誠司シニアアナリストは分析する。
CX-8のデザインは「Car as art(芸術としてのクルマ)」をコンセプトに、SUVらしい力強い面と、大人の落ち着きを共存させたという。マツダとして打ち出すメインカラーも、これまでのレッドからグレーへと変わり、CX-5などのスポーティなイメージから、より上品な印象へと変化させた。
質感のなめらかなシートや本物の木材を使った内装など、素材使いにもこだわった。デザイン本部の諫山慎一・チーフデザイナーは「こだわりの書斎のような空間に仕上げた。日本のものづくりに見られるような、固有の美意識を入れ込んだ」と語る。
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