働き方改革、「残業代が8.5兆円も減る」の衝撃 雇用者報酬の3%に相当、実質GDPも下押し

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三菱UFJリサーチの小林氏は「無駄な仕事をできるだけ減らすなど、働き方改革を先取りするような動きや、育休や時短の制度を充実させる動きも強まっている。さらに、ここ数年は景気がよくなって企業が人手をきちんと確保するようになり、1人当たり労働時間が短くなっても何とかやっていけるようになっている」と分析する。

生産性を高めないと成長も報酬も望めない

15~64歳の生産年齢人口は今後ますます減少ペースを加速していく。これまで不足する労働力を少しでも増やそうと、高齢者や女性の労働参加を促してきたが、これ以上増やすにしてもそろそろ天井が近づいている。

今回の働き方改革もあって、さらなる労働力の増加が期待できない以上、経済成長の源泉として生産性の向上への期待が高まる。

政府が今年3月に決めた「働き方改革実行計画」は、「賃金引き上げと労働生産性向上」を検討テーマの1つとしてうたっているが、その具体的な中身となると、「雇用関係助成金に生産性要件を設定」などと、とたんにスケールが小さくなる。

大和総研の小林氏も「生産性の議論になると、急に具体策が思いつかなくなる」と認め、エコノミストの間でも具体的な生産性向上策は難問のようだ。

安倍晋三政権発足後、金融緩和や法人税減税で企業の設備投資の背中を押し、女性や高齢者の労働参加を促してきた。日本経済停滞の源をタマネギの皮をむくように探っていくと、投資や労働の問題が仮に改善しても、結局は生産性の低迷という難問が残る。

皮肉なことに、これまでほとんど手つかずだった難問が、働き方改革によって光を当てられることになった。

山田 徹也 東洋経済 記者

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やまだ てつや / Tetsuya Yamada

島根県出身。毎日新聞社長野支局を経て、東洋経済新報社入社。『金融ビジネス』『週刊東洋経済』各編集部などを経て、2019年1月から東洋経済オンライン編集部に所属。趣味はテニスとスキー、ミステリー、韓国映画、将棋。

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